浅瀬でぱちゃぱちゃ日和

全部日記です。大学院でいろいろやってました。今もなんだかんだ大学にいます。

夏油の気持ちがわかり始めるこの8月:新書『大学職員のリアル』読みました

ぅも!! 夏が名目上の終わりに近づく今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。名目上は、もう明日から秋ですよ、名目上は!! まだまだ暑い日が続きますので、色んなことに気をつけながら生きていきましょう。特に電気代とか。電気代とかな......

 

8月が終わりますね!! 皆さん!!

 

あっというまでございました、、、 僕としては地味に、人生史上初「夏休みのない8月」でした。そしてこれからも、二度と夏休みはないのだと思うと、なんだか感慨深いですね。

かつてRADWIMPS野田洋次郎は「君のいない世界など、夏休みのない8月のよう」と歌いましたが、これからの僕は、野田洋次郎の言うところの「君のいない世界」を生き続けることになるんだなと思います。まあ、だいたいみんなそうだけどな。この歌詞だと、続けて「君のいない世界など、笑うことのないサンタのよう」と歌ってますが、笑わないサンタはそれはそれで面白そうな。ジャンプ+の読み切りでありそうですよね、『笑わないサンタ』。

そんなDoでもいい話は置いといて。今日は「今月の振り返り記事」となります。夏休みのないこの8月、僕が何をやっていたかというと、やはり「お仕事」ということになります。あとちょっと読書もした。今日はそういったことを振り返ります。

で、今回は、最近読んだ本の感想紹介と、当月の振り返りを、もう一緒にやってしまうことにしました。どっちもお仕事の話になるので、まとめたほうがよいかなと。そんなわけで今日は、初の試みとなりますが、読書感想&近況報告です。どうぞお付き合いいただけますと幸いです。。

 

*最近もう「月末の振り返りぐらいでしかブログ更新してなくないか?」というご指摘も、あるかと、存じますが、逆に、考えてみてください。毎月一回は必ずこのように更新を行っている、その継続力こそが称賛に値する美徳なのだと。そういうことにしてください(ネタ切れ気味なんです)。

 

夏油の気持ちが分かり始めるこの頃

中公新書ラクレ『大学職員のリアル』読みました。

倉部史記・若林杏樹『大学職員のリアル 18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』(2023,中公新書ラクレ)

最初に読書感想から。『大学職員のリアル』。こちら、今年の7月に出た新書となります。本屋に行ったら平積みされていました。まあ、読むわなという感じで、8月中旬はこの本を読んだりしていました。

皆さん、大学職員という仕事、どんなものか気になりますか? 大学の外部にいる人からすれば「なんかホワイトと聞くけどどうなん?」という感じかもしれないし、大学の内部にいる人からすれば、あのポンコツどもの生態はどうなっているんだ事務職員の皆様方は一体どのように働いているのだろう? という感じかもしれません。実際、大学職員は就職・転職市場では結構人気らしく、年々志望者も増えているのだとか。僕も大学職員として働いているわけですが、就活をしているときにはまあ「人気なんだなあ」と実感したこともあります。

で、そんな人気職になりつつある大学職員、どんなイメージを持たれているかというと、キーワードは次の3つです。すなわち、「楽で」「安定していて」「高収入」。こう言われているからこそ、就職市場で人気になったりしている、というのが著者の見方で、僕も同じようなことは感じています。ただ、果たしてそれは本当なのか? むしろ、そういう誤ったイメージが先行しているせいで、不幸になっている人もいるのではないか? というのが、本書『大学職員のリアル』の切り口になっています。

実際、ウェブやSNSなどを見ていても、大学職員は一部で関心を集めているようです。

「大学職員は40代 で年収1000万円以上」

「夏休みは3週間以上」

「残業もなく、ボーナスは〇〇万円以上」

といったことを紹介するブログ記事などが少なからず存在しますし、それらがアクセスを集めている様子も伺えます。「楽で稼げる仕事ランキング:といったテーマの記事で、上位に大学職員が挙げられている例もありました。本書を手に取ってくださった現役大学職員の皆さんの中には、いま「そんなわけあるか」と思った方も少なくないはずです。(本書p17、強調は引用者)

僕ももちろん、「そんなわけねえだろ」と思った人間の一人です。ただ実際、こういうことを喧伝するブログは存在していて、だいたい、「民間企業で社畜ライフを送っていた俺、大学職員に転職したらまさに天国だった」的なブログが多いです(なろう系のタイトルか?)。この記事とか、「大学職員は誰でも年収1000万」ということがマジに書かれていますからね。こういうブログは、本書でも指摘されている通り、ESの添削を請け負ったり、転職サイトへの誘導を行ったりと、就職市場と絡めて何らかのお金を稼ごうとしているのが特徴です(金儲けが悪いわけではないが、その分、真偽の怪しい情報で釣る傾向が強いので注意) 

で、最初に挙げたキーワード、「楽で」「安定していて」「高収入」ということについて、これは必ずしも正しくないよということを伝えています。「楽」かどうかについては、大学や部署によってまちまちだし、一部の大学ではトップが独裁化して大変なことになっているところもあります。あと、職員と違う論理で動いている”教授陣”との調整を行わなきゃという大変さもある。

「安定している」ということについても、18最人口が減り続ける中、多くの大学が入学者の募集停止や経営統合に走っているし、日本の研究力も落ちる一方(国からのお金も減り続けている)。かつ、年収についても、今の大学はどこも人件費の削減に熱心で、たとえ年収1000万の例があったとしても、それが「誰でも」ということはありえないし、かつ、20年後の状況は全く違ったものになっているだろうということが言われています(p183-184など)

「楽」「安定」「高収入」ということについて、まだまだ働きはじめて5ヶ月のPayPayの私めから実感を申し上げますと、「楽」というのは確かにそうかもなとは思います。例として残業時間を挙げると、僕自身の平均がだいたい月10~20時間(今月は12時間だった)。ただ、周りの同期6人に聞いたところ、全くの0時間が3人、5時間以内が3人でした。新入職員ということを考慮しても、一般的な民間企業に比べて、だいぶ少なめなんじゃないかな〜と思います。10時間ちょいの僕が「多い」と言われるぐらいなので。

「安定」ということについても、自分のところは国立なので、まあ安定はしてるかな? という感じ。たとえ日本の大学が一つずつ滅んでいくとしても、割と最後の方まで残っているのではないかと思います。ただ、これは完全に大学に依るので、自分の経験を最も一般化しにくいところですね。

で、最後、年収1000万ということについてですが、正直な話、自分が1000万プレイヤーになる未来は1mmも見えないです。この前もTwitter(Xか)で、京大教授の年収が1000万行かないということが話題になっていましたが、教授で行かないのにいわんや事務職員をや、ですよ。学長とか理事になればそれは話は別だろうけど、ああいうのは大学職員というより多くは文科省からの出向勢なので、自分とはあんまり関わりのない話だなあと思ってます。

そんなわけで、この頃大学職員が注目を集める理由「楽」「安定」「高収入」ということについて、「楽」以外は必ずしもそうではないかな〜〜という見方をしていますが(楽なのも今だけかもしれんけども)、じゃあ逆に、真の魅力はどこなのか? というところですよね。大学職員として働くことの、どこがよいのか。

そこはやはり、大学という場に関われることだと、個人的には思っています。本書でも、そのようなことは言われていて、「教育を支援できること」をやりがいとして挙げている人は多いとのことでした。次の一節は印象的です。

大学を取り巻く社会状況はこの20年で一変しました。職員の仕事やキャリアのあり方も、20年前と同じではなくなってきました。「大学職員は楽で高給」といった、20年前を前提としたような話を鵜呑みにしてしまうと辛い思いをするかもしれません。でも「20年後の大学」で働きたいと思える方なら、職員人生を楽しめるはずです。(p194、太字引用者)

20年後の大学で働きたいか、、、これは結構いい言い回しですよね。僕はまだ働き始めて5ヶ月だけども、この「大学で働けている」という事実に助けられている部分は大きいです。図書館とか自由に使えるし、研究の支援みたいなこともできているし。そういうところは、この仕事のやりがいを感じる部分というか、明確にメリットだと思えるところです。

 

夏油の気持ちがわかるこの頃

で、ここまでは前フリと言いますか、こんな綺麗事を言いたくてブログを書いているわけではないんですよ。この頃は、ある種「大学職員ならでは」の悩みも感じています。「決して楽ではない」とか「安定しているとは限らない」とか、そういう類の不満ではなくて、もう少しあるある系の不満です。

話は変わりますが、皆さん、呪術廻戦はチェックしていますか? この頃、アニメの2期もやっていましたね。

jujutsukaisen.jp

僕は基本漫画派ですが、映像が綺麗とのことでアニメも少しチェックしていました。で、そこで、漫画のときにはスルーしてたけど、改めて見ると印象に残った話があります。29話「玉折」の、夏油と九十九由基の会話です。

一応、呪術廻戦を知らないよ、という方に向けて説明しますと、呪術廻戦は呪霊という化物に、呪術師と呼ばれる者たちが対抗していく物語になります。呪霊は、人間の負の感情(呪力)から生まれます。呪術師は、逆にこの呪力を使って、呪霊と戦っていくわけです。

で、このアニメ29話では、呪霊発生のメカニズムについて、ある事実が明かされます。それすなわち、呪術師から呪霊は生まれないということ。そもそも呪霊は、人々の呪力が漏れ出した結果生まれるものだが、呪術師は、自らの呪力をコントロールできます(だから戦える)。ので、呪術師は呪力が漏れ出すこともなく、よって呪霊も生み出さないとなります。

図にすると次のようになります。

暇なので作った。

この話で示唆されるのは、全員が呪術師になれば、そもそも呪霊は生まれない、ということです。呪術師はパンピー(非術師)を守るために戦いますが、当の敵(呪霊)を生み出しているのは、実はパンピーたちであるという事実。じゃあもう、最初からパンピーたちがいなくなれば、呪術師も誰かを守るために戦うこともなくなるんじゃね?(そもそも敵が生み出されない)というのが、夏油くんの気付きでした。

力のある者が、力のない者たちによって生み出されたものから、当の力のない者を守るために命を賭して頑張らなければならないという、そのしんどさがテーマになっていると思います。

これがですね、この頃ですね、僕も仕事で実感していることとなります。まあほんと、例を出すとExcelなんですが、Excelを使えない者によって生み出された業務(呪霊)を、Excelを使える者が処理し続けるという、そういうところはあるように思っています。

ここでもう一度、『大学職員のリアル』に戻るんですが、本書でも、大学職員はとにかく「ザ・お役所仕事」であることが指摘されています。典型的な縦割りで、色んなことが変えづらく、何をするにも「前例があるか」「該当する規定があるか」が重視され、かつ、「事なかれ主義」「出る杭は打つべし」系な職員が多いことが指摘されています。

例として、本書で書かれていることをいくつか引用すると、

  • 自分の仕事を増やすことを極端に嫌う職員が少なくない(p31)
  • 問題解決しようという姿勢を持つ職員が極めて少なく、事なかれ主義、減点主義の組織風土(p118)
  • 学生のためを考えた結果として、マニュアル化されていない対応や、慣習として引き継がれてきたこと以上の支援を学生に行ったという職員は多くの大学にいます。そのとき、「前例から外れる対応はダメ」と上司や同僚に注意されたり、「あいつは困った奴だ」という評判が部署内で広まったり、さらには人事評価で他より低い評価を受けたりする例が残念ながら存在するようです(p102)

このあたりは、まだ働き始めの新米の僕でも、分かる〜〜という感じです。とにかく、前例を変えられない。何かを変えようとすることが「仕事を増やす」ことだと直観的に判断されて、猛反発を喰らう。マニュアルにないことは一切通らない...... そんな空気は常々感じています。

これもね、若造がいきなり大胆な提案をしたとかなら分かるんですけど、そうではないことも実感としては多いです。身近な例で言うと、部署内にタスクを管理するためのスケジュール表があって、それがExcelで作られているわけですが、それがですね、A列に「月」を入れて、B列に「日」を入れて、C列に「曜日」を入れるような形で、カレンダーが作られているのです。だから、8/31(金)を示すところは、A列に8、B列に31、C列に金と書かれているわけです。そんなExcelの使い方があるか????

で、Excelのマクロなり、Power Automateで自動化を試みようとする人からすれば、この形式は非常にやりづらいわけです。素直に、A列に日付表式で表示してほしいと思う。ただ、ただですね、この形式を変えることができない...... 視覚的にわかりやすい(?)からなのか、ずっとこうしてきたからなのか、誰も「変更する」というリスクを背負いたくないからかは分からないけれど、こういうちょっとしたことですら、本当に変更するのが難しいです。

その結果として何が起こるかと言えば、呪術廻戦と似ていると思います。呪術廻戦で起こっているのは、呪力を持たない者により、呪霊が生み出され、呪力をコントロールできる者がそれに対処する、という事態。かつ、全員が呪力をコントロールできれば、そもそも呪霊なんて生まれない、ということです。全員がExcelを使えれば、そもそもこんな業務は生まれないのに、Excelを使える者がその対処にかかりっきりになっている....... こんなことを最近、実感することが多いわけですね。

僕は下っ端なので、面倒な作業を任されることが多いですが、「せめてもうちょっと、皆がExcelのスタンダードを身につけてくれれば、こんな作業自体生まれないのに.......」と思うことが、無きにしも非ず、、、という話でした。

 

 

愚痴ばっかりですみません。

 

まだまだ夏油の如く「結論、猿は嫌い」とは至っておりませんが...... 「夏油もこんな風に考えたことがあったのかな?」と思わなくもないこの頃でした。ただ当然、危険思想ですからね、この考え方!! 五条くんに殺されたくなかったら悔い改めましょう。最後に、最後に一つだけ言うと、「削除する、書き換える、この繰り返し。皆は知らない、この作業の虚しさ。吐瀉物を処理した雑巾に嘔吐するような...... 誰のために」というのは、この頃頭をよぎるセリフです。

そんな感じです。

今日はこの頃の、仕事への不満を口にする回となってしまいました。マジで申し訳ありません。呪力はお前からこそ漏れ出てるぞって話ですよね。

ただ同時に、呪術廻戦って、結構現代人が陥りがちな病も扱っているんだな〜〜と関心もしました。僕は単行本派ですが、最近も結構面白いです。 皆さんも読んでみてはいかがでしょうか。

近況報告については以上です。これからも、闇オチしない程度に頑張っていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

(ちなみに、『大学職員のリアル』は大変面白かったので、現大学職員の方、大学職員を目指している方、ぜひ読んでみてください)。

 

 

今月のプレイリスト!!

毎月恒例、今月のプレイリストのコーナーです。つまり皆さん、もうブラウザバックしてよいということですね!! ここは毎回、僕が僕自身のためにやっているコーナーなので。

今月、僕が聴いて「よいな〜」と思った曲たちを紹介します。

 

 

8月は全13曲です。ちなみに、このサムネの写真、めっちゃよくないですか? 入道雲が2つ並んでいて、まさに「夏」って感じですね!!

 

よくない?

今月聴いた中でよかったのは、断トツで、ClairoAmoebaとなります。


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ちなみに、これは完全にマンスプレイニングですが、Amoebaの読み方は「アメーバ」ですよ!!  アメーバピグが「Ameba」表記なせいで一瞬わからなくなりますね。

 

ちなみに、Amoeba繋がりで言うと、The Doozersの「Amoeba」もいい感じの曲なので、ぜひ聴いてみてください。ドライブの時に聴きたくなりますよ(前にも紹介したことがあったかも)


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以上!!

 

今日は重ね重ね、愚痴が多くなってしまって本当にすみません...... そういう日もあるよね? ということで、お許しいただけますと幸いです。

あと!! 7月の振り返りの時に、8月は「ゆっくり動画を出す」ことを示唆していましたが、あれは嘘になりました!! すみません。最近ね、『ファスト教養』という新書も読んでいて、ああいう動画を出すこと自体どうなんだろうな〜〜とか考えている次第です。まあ、その話題はまた今度ということで。

 

この頃は、更新自体が少なく、また話題も「大学職員ライフ」に偏っていること、大変申し訳なく思います。本当にすみません。ただ、これからも、自分の興味を積極的に発信していきますので、ぜひ見守っていただけますと幸いです。闇オチしたらちゃんと止めてください。よろしくお願いします〜〜。