近ごろ映画を見ていない。昔は映画大好き人間だったのに、最近はすっかり観なくなってしまった。
映画離れの理由の一つに、2時間じっと画面に向かうのがしんどくなったことがある。どうにも、疲れるようになってしまった。途中で飽きることもしばしば。集中力が続かないというか、老人になったのかもしれない。
あと、画面の向こうで繰り広げられる、キャッキャキャッキャとした恋愛模様が、若干ツラくなったということもある。鑑賞し終えて、作品の世界から外に出れば、アパートの自室に一人きりである。これはなかなか虚しい。そんなわけで、近頃はよほど興味を惹かれる映画でない限り、全く観なくなってしまった(JOKERとか話題作は最低限追っているけど、、、)
ただ、そういうのもよくないなと思いつつ、今日は映画を一本観て、感想でも書こうと思った。のだが、気づいたらスプラトゥーンで発狂していた。チャージャーがね、よくないですよ。仕方がないので、新しい映画を観るのではなく、過去に観た中で、個人的によかったものを紹介します。就活してたり、フェミニズム系の本を読んでたりする中で、思い出すことの多い作品など。簡単にね。
ちょいマイナーどころの映画もあるので、知らなかった方は要チェック。
1.セイ・エニシング(1989)
80年代、アメリカの若者を描いた青春映画。若さゆえの恋愛のあれこれ、進路の悩みなんかがメインになっている。そしてものすごく時代感が漂っている。アメリカでは結構流行ったらしい。
良作なのだが、ちょいマイナーというか、日本だと知名度低いんじゃないかと思う。ちなみに僕は↓のツイートで知った。
" I gave her my heart, and she gave me a pen." 🖊️ 💔 #SayAnything... #NationalBallpointDay pic.twitter.com/ywtf32bXOy
— IMDb (@IMDb) June 10, 2020
僕は彼女にハートを捧げて、彼女は僕にペンをくれた。
めっちゃよくないですか? そうでもない? このツイートで内容が気になって、確か翌日ぐらいには観た気がする。
おすすめポイント
① ノスタルジー強し
これぞ純愛、、、っていうのを味わえます。単にまっすぐな愛ってだけじゃなくて、いろいろ衝突とかも繰り返すんだけど、最終的にはやっぱり二人は結ばれるという感じ。「若いっていいなあ」というか、そんなノスタルジーを味わえます。
あと、この映画のめちゃくちゃ有名なシーンで、主人公のロイドがカセットデッキを担いで、深夜に元カノの家の前に立ち、ラブソングを流すというのがある。端から見たら狂ってるのだが、そういうのも愛おしく感じられるのがよいところ。
②名言多し
いいセリフが多かったなあって思う。例えば序盤、ロイドが先生からこう言われる。「お前はこれからどうするつもりなんだ。他のみんなはちゃんと進路を決めてるぞ」。これに対してロイドの曰く、「他のみんなだって、本当に自分がやりたいことがなんなのかはわかってないさ」。これは本当に、そうだと思います。就活中、僕もこうやって自分を励ます。
あとは、ロイドが男らしさ的なものにこだわったせいで、恋愛がこじれるシーンがある。ここで彼は女友達からこう言われる。「ロイド、あんたは男(guy)じゃない。男はこの世界にもたくさんいる。あんたは大人(man)になりなさい」と。この前読んだ清田隆之『さよなら、俺たち』で、「男たちは幼稚さを捨てて大人になろう」的なことが言われていたので、ああまさにこのことじゃんと思った。
他にもいろいろあるのだが、あと一つだけ。序盤の方で、「デートの定義とは?」という話がちらっとだけある。どこまでが友達同士のお出かけで、どこからがデートなのか。これについての作中の回答は、「デートとは、愛の可能性を賭けた儀式のこと」であるとのこと。これは、わかりやすい。
個人的に、こういうナヨっとした青年が主人公の映画が好き。次の作品もそんな感じです。
2.ラースとその彼女(2008)
主演はライアン・ゴズリング。ラブドールとの恋愛を描いた作品。一見コメディのようで、かなり正統派の映画。
ラースがある日彼女を紹介するというので見てみたら、、、なんとラブドールを連れてきた。しかもラースは、彼女をまるで人間のように扱っていて、というか完全に人間と思い込んでいる。そんな奇異な事態にみんなが驚くのだけれど、次第に周囲の人もそれを受け入れていく。みんなで彼と彼女の関係を暖かく支えていくという話。
おすすめポイント
① 優しい
優しいです。優しい気持ちになれる映画だと思います。
② 女性嫌悪(ミソジニー)っぽい
最近、フェミニズムの勉強をしていて、この映画を思い出すことが多い。というのも、フェミニズムでは男性による女性支配が問題になるのだが、ラースみたいに人形に恋をするようになれば、少なくともカップル関係においてはそれは解決されると思うので。
そしておそらく、ラースは深刻な女性嫌悪を抱えている。嫌悪と言っても、「女なんて死ね」とかそういうのではなくて、”女性性”に対してトラウマがあり、生身の女性とうまく関係が築けないということ。肌の触れあいを「痛い」と恐れていて、それは僕自身、なんとなくわかる部分がある。
まあなんというか、、、我々の行き着く先はこういうところなんかなあと思ってしまう。これなら男女関係で誰かを傷つけたりとかないからね。ただ、かなり多面的な読みができる作品だと思うので、そこばかり強調するのはあれなんですが。
あと、終盤のキスシーンが印象的です。個人的には「キスシーンが印象的な映画!TOP5!!」の2位ぐらいには入る。1位が「ドライヴ」で、2位が本作、3位が「ラ・ラ・ランド」。4位が「ラブアゲイン」で、5位は「ブルーバレンタイン」、、、って全部ライアン・ゴズリングやんけ! ちなみに「君に読む物語」は観たことないです。
3.レスラー(2009)
最後はしがないレスラーの話。タイトルは「レスラー」。そのまんまですね。主演はミッキー・ロークです。
プロレスしか取り柄のない男が、ある日心臓発作を起こしてしまい、ドクターストップをかけられる。プロレスは休業となるのだが、ただ、彼にはリングの外の社会はどうにもつらかった。スーパーのバイトではこき使われるし、実の娘に会いに行くも拒否られるし、あげく新しい恋も上手くいかない。そんな感じで、レスラー一筋だった男がこの世知辛い社会に適合しようと頑張る話。
おすすめポイント
① 悲しい
なんとも哀愁が漂っている。がさつで自己管理もできない人間が、この社会に適合することの難しさをよく描いていると思う。
キツいなあと思ったのが、ランディがスーパーのレジ打ちバイトに向かうシーン。ここで、彼のリングネームを叫ぶ歓声が流れるのだが、これがプロレスの選手入場と重ねられている。もちろん脳内ミュージックなのだけれど、リングという過酷な場所に向かうぐらいの気持ちで、レジバイトに臨んでいるということ。これはなんか、ぐっとくるものがある。
あとはちょっとネタバレになるけど、ランディの最後のセリフなど。心臓手術をしたばかりで、動いたら死ぬと言われているのに、彼は再びリングに立つ。「どうして? 痛みはないの? 」と聞かれた際に、彼はこう答える。「俺にとって痛かったのは、リングの外の世界だった」。最後の最後までプロレス以外では報われないので、なんとも悲しい映画です。
② ミッキーロークの体当たりな演技
とU-NEXTで紹介されていた。確かに、体当たりな演技であった。哀愁の漂わせ方もエグい。
以上
今日は3作だけ紹介しました。全部個人的にはおすすめなので、是非見てください。
ここまで書いてみて思うのが、映画の紹介・感想サイトとか、世にたくさんあるけど、あれってすごいなあということ。こんな雑にしか書いてないのに、めちゃくちゃ疲れたので。自分が感じた映画の魅力を、見てない人に向けて伝えるって難しいですね。難しいです。
近頃、三月に入ったことで、就活がよりいっそう苦しくなってきた。今日もなかなかしんどいこと多かった。そういうとき、こうやって物語の世界に想いを馳せることで救われております。映画を見るって、やっぱり大事。