浅瀬でぱちゃぱちゃ日和

全部日記です。大学院でいろいろやってました。今もなんだかんだ大学にいます。

どうなる!? 混沌極まる東京都知事選

皆さん、東京、住んでますか? 僕は住み始めて約1年と4ヶ月になります。住む前は「人の心も枯れ果てたコンクリートジャングル」などと思っていましたが、住んでみると意外と居心地がよく、なんだかんだいい場所だなと思っています。ただしこれからの季節は地獄です。

で、2024年6月23日現在、東京都を賑わせているものがあります。もちろん東京都知事ですね。僕はテレビは見ませんが、Twitterのトレンドという名の掃き溜めはわりかしチェックしています。そして、そこではいつも都知事選のニュースばかり入ってきます。住んでいる地域のトレンド的な感じで。

で、僕は本当に毎日なんかしらこの話題を見聞きしているのですが、東京に住んでいない人にとってはそこまで関心のないことかもしれません。かつ、この東京都知事選によってどんなカオスが巻き起こっているも、あまりご存じでないかもしれません。やべーことになってますよ皆さん!!

そんなわけで、今日は一東京在住者から見た都知事選の雑感となります。こういう記録を残しておくのも大切かもしれませんね。できるだけ特定の候補者を持ち上げたり貶したりということはしないつもりですが、まあ左寄りの思想の持主であることはご容赦ください。とはいえ、自分の政治的意見を出すというよりは、「マジでこの選挙、どうなるんやろな〜〜〜」という、この頃の肌感覚を記しておくのが狙いです

 

混沌の都知事

まずは、今の東京都に掲示されている選挙ポスターを見てみましょう。出勤時に毎朝見かけています。

まずですね、掲示板がデカすぎですね。これは去年の文京区区長選挙の時も思いました。東京は候補者が多いようで、他のどこでも見たことのないような掲示板のデカさになっています。まずこれにビビる。これを都内の至るところに設置するコストだけでもかなりのものでは。ちなみに今回の立候補者は56人とのことです。

そして皆さん見えていますでしょうか、一帯を占める黄色いポスターが。これが東京都知事選のカオスその1、NHK党による掲示板ジャックです。ここは立花氏の写真が貼られていますが、他のところにはオーケストラの広告やよく分からん宣伝画像が掲載されていたりします。

↑風俗の広告も載せて警告を受けたらしいです。

これがどういうことかというと、NHK党の立花氏が広告掲載主を募って、一人当たりいくらという金額をもらいつつ、選挙ポスターを完全に広告として利用しているという感じです。

今回の都知事選で、NHK党は関連団体を含め、24人を擁立した。「掲示板をジャックして、あなたのビジネスを広げるチャンス」と呼びかけ、寄付した人に対し、都内約1万4000か所にある掲示板のうち、1か所を選んで、自作のポスターを貼る権利を譲っている。

候補者と無関係のポスター、有料サイトに誘導のQRコード…東京都知事選挙で苦情殺到 : 読売新聞 https://www.yomiuri.co.jp/election/tochijisen/20240621-OYT1T50195/

そんなことしていいの?? というのが率直な感想ですが、今回の選挙中はずっとこのままかもしれません。次回からは何かしらの規制が入るんでしょうか。

また、選挙ポスターについては、ほぼ全裸の女性の写真を載せて掲載を撤回されたところがあります。これが都知事選のカオスその2ですね。

こちらの候補者の河合悠祐氏、ほぼ全裸のポスターは撤回されたのですが、依然として「一夫多妻制を導入します」と宣言するポスターは貼られており、街中で見かけるとかなりカオスです。ちなみに↑で挙げた写真では、京大の学位記を持ちながら「僕は学歴詐称してません!」と呼びかけ、小池都知事のことを意識したものとなっています。

小池都知事については、学歴詐称疑惑が連日ネットニュースで流れてくるのですが、これが東京在住者以外に(東京在住者にとっても)どれだけチェックされている(関心のある)ことなのかはよくわかってないです。

どうでもいいですが、「なぜヌードを公然と掲示してはいけないのか」というのは、法哲学的に興味深い(蓄積のある)議論と思います。公然猥褻だろ!! と怒られているわけですが、当人からしたら「その公然猥褻というのが、そもそも不当に表現の自由を制限しているんだ」という問題意識があるわけで、規制されるべき表現とは何かという問題を改めて提示していると思います。

かつ今回は「そもそも選挙の候補者を掲示するための空間に関係のないことを載せていいのか?」という問題もありそうです。この辺、サンデルなんかは「その掲示板が果たす機能や目的から考えよ」などと言いそうですが、現代リベラルの政治哲学者がどんな見解を示すかは気になります。やはり基本的には自由であるべきなんでしょうか。

そんなわけで、ここまではまぁまともに勝つ気はないだろうという候補者を取り上げてきました。今回の都知事選では「選挙を単なる売名行為に利用してよいのか」という問題意識が各所で上がっています。これについては「確かに」と思う一方で、他方今から「選挙や民主主義に求められる徳」というものをきちんと示していくことも難しそうだと感じています。投票率がここ十数年に渡り下方を続け、そのたびに選挙の大切さというものが説かれてきましたが、むしろここにきてより状況が悪くなっていないかという印象です。逆に、行くところまで行き着くことで、ここから再生されていくのでしょうか!? なぜ選挙でふざけてはいけないのか、選挙には最低限どういった徳や倫理が求められるのかというのは、きちんと考えなければならない問題だと思います。

 

小池 VS 蓮舫 VS 石丸?

で、次は真面目に争っている候補者についてです。

今回の都知事選、僕の元に流れてくるニュースでは、小池 vs 蓮舫になりそうと報じられています。現職の小池都知事がこのまま勝つか、勢いのある蓮舫氏がそれを上回るか。第三候補としては、安芸高田市の議会でお馴染みの石丸氏が上がっています。他だと保守系の田母神氏とか、ネット探偵を自称するYoutuberの暇空茜氏の名前をよく見かけていますが、まあ有力なのは小池・蓮舫・石丸あたりかと思います。

そしてこの3人、僕ももちろん名前は知っているのですが、掲げている政策については正直調べておりませんでした。この3人が勝つことで都政がどうなるか? というのは単純に気になりポイントです(後述するけど、政策よりも不祥事やスキャンダルの方が争点になってそうで、政策の比較とかあんまりされてない気がするんですよね)。こちら、この機に調べましたので、以下簡単にまとめておきます。

 

小池百合子

箇条書きでメモとして書いていきます。

  • 2期連続で当選しており、現在8年目。
  • 公約として『東京大改革3.0』を打ち出している(前回の選挙では2.0だったとのこと)。①セーフシティ ②ダイバーシティ ③スマートシティの3つを大きな項目としており、災害対策と少子化対策に力を入れているように見える。少子化対策としては、出産助成、保育の無償化(第一子まで)などなど。
  • 最近はAIゆりこも話題になった。あの技術すごいですよね。
  • 3期目ということで、2期目の公約をどれだけ果たせたのかが争点になりそう? ペットの殺処分ゼロ・待機児童問題・満員電車問題についてはだいぶ達成度が高いらしい。(参考
  • ぶっちゃけ、僕自身の東京都民歴が浅いので、2期目のことを踏まえて3期目を評価するというのが難しい。僕はコロナ禍も東京では過ごしていないため、このコロナ禍を共に過ごした都民からの評価が気になるところ。
  • 今は学歴詐称問題で世間を賑わせている様子。学歴詐称問題というのは、小池氏がカイロ大学を首席で卒業しているというのが、捏造された情報なのではないかという問題。最近は関係者の証言なんかも飛び交っていてカオスが深まっている(参考)。
  • 他に批判されている点としては、大規模な予算を使ったプロジェクション・マッピング神宮外苑の再開発など。何十億というお金が動くため、もっと有効活用できないのかなど(競争から指名排除されている電通を使っているのも評判が悪い様子)
  • 逆に言うと、学歴詐称疑惑と予算の無駄遣いぐらいしかウィークポイントがない? 前者も疑惑に過ぎないし、現職でやっている人間を引き下ろすにはちょっと弱いような。まあ最有力候補というのも頷けますね。

 

蓮舫

  • 今でも民主党時代の事業仕分けが印象的だが、今回は無所属で出馬。
  • どうでもいいが、本名は齊藤蓮舫で、「蓮 舫」という名前のわけではない(今回初めて知った)。政治家は通名でも活動ができるとか。
  • 公約としては「7つの約束」を提示している。小池氏と同じく少子化対策に力を入れているが、方向性としては現役世代の手取りを増やすことを重視。あとは「行政の透明化」を前面に出しており、都のデータをオープンデータ化するなどとも書いている(逆に防災のことは少ししか書いていない)
  • 他にも、パートナーシップ制度の推進や、神宮外苑再開発の見直しを行っている点は、小池都知事との差別化になりそう。
  • スキャンダルとしては、二重国籍問題と公職選挙法違反疑惑のことなどか。二重国籍についてはこちら公職選挙法違反疑惑についてはこちらなど(説明するとどうしても長くなるので各自調べるべし)。これもウィークポイントとしては弱そうに感じるが、民主党時代のこともあり、保守層からの受けが悪いというのはまあ分かる。

 

石丸氏

  • まず今回驚いたのが、石丸氏は個人ホームページがない......? 絶対あった方がよいと思いますが。
  • 公約として出されているのは、①政治再建、②都市開発、③産業創出の3点。ITツールを使ったり教育への投資を行ったりと「合理化」が一つのキーワードになっている様子。小池・蓮舫にあった少子化対策が掲げられていないのは印象的。経済発展政策に力を入れるということの表明か(こちらを参照)。
  • 強みとしては、安芸高田議会で見せた痛快な議論、理路整然としたしゃべりと、まだ41歳という若さなどか。
  • 弱みとしては後ろ盾となる政党や団体がないことが挙げられている様子(組織票を得にくいなど)。
  • ぶっちゃけ、政策があまり詳しく書かれていないので、そこの判断が難しいですね。「AIを活用して民意を集約し政策に反映」ということも書かれているのですが、どうやるのか..... 『一般意思2.0』的なことをするのか、気になります。

 

どうなる!?

あくまで個人的にですが、政策面で気になるのは蓮舫>石丸>小池の順番となっています。小池都知事に関しては、現状の2期目と次の3期目で何をどう変えていくつもりなのかが気になるところ。革新的な政策よりは「安定感」の方が売りなのかもしれません。対して蓮舫・石丸は現状打破を狙っている印象で、特に蓮舫の「現役世代の手取り向上」と「都政のオープンデータ化」は実現したらすごそうだと感じています。石丸氏のIT活用なども面白そうですが、具体的に何をするんだろう.....というのがよくわかっていないです。

そして都知事選のカオスその3ですが...... ネットニュースを見ていると、こうした政策の比較よりも、互いがどれだけの不祥事やスキャンダルを持っているかというのが重視されているように見えます。小池氏は学歴詐称の信用ならん奴だとか、蓮舫二重国籍で中国に肩入れしているだとか、石丸氏は漫画オタクを詐称しているだとか(最後のはマジでよくわからん)。そして、いつの時代もそうかもしれませんが、人格やキャラクターが非常に重視されているとも感じます。ので、なんかしら都知事選の情報が入ってくると、政策の検討ではなく誰かの人格面を貶しているようなものが多いため、正直結構疲れてもいます(それ以外のニュースは、前半で取り上げたような「そんなことしていいの?」系のものが多いし)

とはいえ、これは都知事選がカオスなのではなく、ネットがカオスなだけかもしれませんね(ある意味通常運転ですが)。大変失礼いたしました。

 

選挙の話題をどう語るか

最後に、選挙や投票に関してですが、去年何かの記事で有権者は負ける候補に票を入れることを好まず、投票するなら勝てる人間に入れる傾向がある」というのを読みました。この話が大変印象に残っています(検索したが見つけられず...... 元記事知っている人いたら教えてください)。自身が票を投じた者が負けるのを「ダサい」と感じる感性と言いますか、「勝たせたい人に入れる」のではなく、「勝ちそうな人に入れる」ものとして紹介されていたと思います。本末転倒といえば本末転倒ですね。

読んだときは、匿名投票なんだからそんなの気にしなくても..... と思いましたが、今はなんとなく気持ちはわかります。自分が投票した者が結果的に敗れ、後からボロカスに言われたりすると、自分も嫌な気持ちになったり傷ついたりするので、最初から勝てるやつにしか投票しないという心理。これは確かにありそうに思います。『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』でも似たようなことが書かれていたような。

で、今は都知事選が熱いので、僕としては周囲ともできれば一度はこの話題に触れたいと思っているのですが、政治への無関心とは別として、上記心理もこれを阻害する壁としてあるように感じています。つまり自分が支持した者が負けると恥ずいので、最初から口に出さないというか。もちろん、支持者なしだったり、無用な対立を避けるために口に出さないということも全然ありますが、「負け馬に乗ったところを見られたくない」ゆえに意見表明を避けることがあるとすれば、結構現代的な問題なのかな? と思います。

ちなみに、今回の僕の選挙への見立てとしては、まあやっぱり小池氏が有力なのではという感じです。現職ということと、提示されているスキャンダルの弱さなどから、「勝ち馬」度合がやはり強いと感じます。ただ、個人的に応援しているという意味では蓮舫・石丸市長の方となります(別に小池氏が勝っても全然よいのだが、なんとなく)。特に石丸氏は、今後もっと具体的なビジョンを出してくれれば推せるのにと感じています。そんなわけで、僕も「外して恥ずかしい」などとは考えず、今の予想や支持者を書いておきたいと思った次第です。

そして今回挙げた3つのカオス、N党の掲示板ジャック、売名過激ポスター、候補者の人格面の貶し合いというのが、どこかで終息してくれれば.....と思っています。これらは現在の選挙を刺激的にしている半面、正直、疲れてきたというのがこの頃の都知事選への感想です。疲れてきている。ネットばかり見ているのがよくないですね。今こそ新聞を取った方がいいのかもしれない。

投票まであと2週間ありますが、この2週間でどんな事件が起きるか、そしてどのような結果となるか、疲労とワクワクの両方を感じるこの頃です。

 

 

以上

今日は珍しく政治の話をしてみました。あまり思想の色を濃くしないようにと思いましたが、田母神氏・暇空茜氏あたりをちゃんと紹介してない時点で左一色だとの批判は受けそうですね。その点は申し訳ないです。疲れていまして、、、、

ただ、こうして目下の選挙に触れている自分を「立派だな」とも感じています(偉いぞ!!)。とかく我々は、政治的意見を表立って表明しない割に、他人のことはひそかに馬鹿にしがちだと思います(あいつは○○を支持してるらしいぞとか)。よくないな!!!! 健全な心を心がけていきたいところです。

特に非東京在住の人に、この頃の都知事選の温度感を知ってもらいたいというのが今日の狙いでした。東京は日々カオスですが、総合的にはいい街です。皆さんもぜひ、この機に東京を訪れて、クソデカ選挙掲示板を目にしてみたりしてください。それでは。

 

 

~エンディングソング「カオスが極まる」~


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