こんばんは。もう7月も末ですね。僕の人生も末期だよと言いたくなるぐらいには最近思考がネガってます。夏、迎えたくねえなあ、、、
ところで昨日、文房具屋に行って、ペーパーボンドなるものを買ってきました。
紙をくっ付ける系の透明ボンド。図書館でバイトしていると、本の「装備」なるものをすることあり。それを自分の家でもしてみようという感じ。
こうやって、表紙カバーの見返しに、ノリを付けて、
ここをペッタリくっ付けて、カバーを固定しようというわけです。読んでてズレると煩わしいしね。図書館の本には、だいたいこの処理が施されています。
これを自分の本にもしていたら、一日が終わりました。
読んでる本、読みたい本
最近すっかり怠っていた、読書感想会をします。あんまり本、読めてないけど、少なくとも手に取ったものどもなど。あわせて、この夏に読みたいと思っているやつらも列挙します。
今読んでる本たち
今年5月末に出た、事実婚・夫婦別姓についての社会学的な本。とばした章もあるけど、今日読み終えた。分量は200ページないぐらいで、文字もちょい大きめなので、頑張れば1日2日で読めそうである。
内容としては、「事実婚や夫婦別姓の賛否について語るとき、我々はどういう視座に立つべきか?」というもの。事実婚・法律婚、夫婦別姓・同性についての言説は、世間で色々溢れている。夫婦別姓は、家族の絆を緩めるからよくないとか、法律婚カップルは、事実婚カップルよりも「優れた」ものであるとか。そうした主張を批判的に吟味する際に、どういった視点を取り入れるべきか。本書はそうした、議論整理系の本になっている。
ちょっとだけ内容を紹介すると、著者は夫婦別姓の賛否をめぐる議論について、4つに分類して説明している。それぞれA〜Dの立場とする(本書第二章参照)。
A:原則として夫婦は同姓であるべき派:
...結婚した一組のカップルは、同姓を名乗るべきである。ゆえに夫婦別姓には反対。とはいえ、これは必ずしも「妻が夫の姓に変えるべきだ」とする主張ではなく、夫が妻の姓を名乗ることはあるし、また二人の名字を一文字ずつ取って、新しい姓を作るべきだとする主張もある。ともかく、二人が同じ姓を名乗ることを原則とする立場。
B:夫婦別姓賛成派:
...夫婦が別姓を選べない、現状の法制度に反対する立場。結婚したカップルが、それぞれの姓を名乗れるようにすることに賛成。これは必ずしも、「家族」そのものを否定したり、結婚を「個人主義的」に捉える見方ではない。例えば、先祖代々の家名を残したいという理由で、夫婦別姓に賛成する人もいる(「家族」への志向はあるということ)。また、「法律婚」それ自体には肯定的である。
C:もう戸籍制度から廃止しようぜ派:
...Bの立場は、「法律婚の枠の中でも、夫婦がそれぞれの姓を選べるようにしよう」というものであった。それに対しCの立場は、そもそもの法律婚それ自体を問題視するもの。国の作った法律が、なぜ一組のカップルの関係性を規定してくるのかよくわかんねえし、それって暴力だよなという立場。「法律婚」や戸籍制度それ自体をなくして、もっと個人単位の社会を実現しようぜ派。
D:戸籍制度から廃止すべきなんだけど、夫婦別姓にも賛成だよ派(BかつC派)
...Cの立場が、Bのことを「婚姻制度という暴力を残存させている」という点で批判するのに対し、Dはそこまではっきりした批判には踏み込まない。「最終的には戸籍制度を廃止すべきなんだけど、その前段階として、夫婦別姓とかを整備していくのはアリ」という立場。いわゆるB∩C。あるいはB∪C。どっちがどっちの記号か忘れちゃった。
で、著者はこうした分類を行った上で、A(夫婦同姓原則)を正面から批判し、C(戸籍制度廃止派)にちょっと冷ややかな目を向けた上で、B(夫婦別姓賛成派)が取るべき戦略を指南している。あくまでこの本、分析・分類がメインのため、直接そういう書き方をしているわけではないのだが、まあ著者がBに肩入れしているのは結構伝わってくる。
その上で、従来は
という対立の捉え方が自明に受容されてきたけど、これはよくないですよねとも言っている。対立の構図はそんなに単純じゃないし、そういう見方を取ることで、議論その者がゆがめられてしまうかもしれない。保守⇔リベラルとか安易なラベリングをすべからず、というのが繰り返し主張されている。詳しい説明はここでは省略。
他にも、事実婚カップルへの聞き取り調査なども載っていて、本書は夫婦別姓・事実婚について語る上で、知っとかねばならんことが満載なように思う。特に第1章の、明治期から現代までの事実婚・法律婚をめぐる議論の変遷は、歴史を知るという意味で非常に興味深く面白かった。
...で、この本だけでまる一回、読書感想文書いてもよかったのだけれど、やめました。なんでかというと、勉強には成ったのだけれど、この議論を心から面白いとは思えなかったからですね。どうしても他人事っぽくなってしまうというか、僕なんかよりもっと当事者性のある人、すなわち、ちゃんと「結婚」が身近な問題としてある人の方が、興味深く読めるのではないかと思います。自分にはまだ、1万年と2千年ちょいぐらい早い話であったよ。ここでは紹介できなかったポイントも多数なので、ぜひ買ってよんでみるべし。
次行きます。
以下、本書の紹介。
本書で述べるような行動をとる白人は、レイシストとは見なされていないだろう。実際、多くの白人はきっと人種に関してリベラルだと思われているだろうし、自分でも、レイシズムに加担などしていないと猛烈に否定するだろう。それでも、そうした反応は、白人の心の脆さの表れであり、レイシズムを揺るぎないものにしているのだ。...私はそうした白人に向けてこの本を書いている。リベラルな白人こそが、非白人に日常的に最も深刻な危害を加えていると私は信じている。(本書18頁、下線は引用者、強調は原文)
自分で紹介文考えるのが面倒なので、引用で対応。「白人で、異性愛者の女性で、健常者で、中年」(12頁)の筆者が、同じくアメリカ社会の白人に向けて「あなた方はレイシズムに加担している」と主張する本。そうすると多くの人が、「確かに、そういう文化的に遅れている白人もいるだろう。だが私はそうではない。我寛容よ」と自己防衛を図る。が、それこそがまさに、人種的な批判に慣れていない、白人の心の脆さ(ホワイト・フラジリティ)なのだと筆者は主張している。本書は、原著の副題にもあるとおり、「白人がレイシズムについて語ることは、なぜこれほどにも難しいのか」という問題を扱っている。
この本、「リベラルな白人こそがレイシズムの加担者なのだ」という主張が面白いですね。ちなみに、ここでの「レイシズム」の定義は一般的なものとは異なっていて、2章以降でその辺の解説がされている。著者はゴリゴリのアカデミシャンというわけではなさそうだけど、今後「白人特権」とか「レイシズム」について語る上では、かなり重要な本になりそうな予感。
...ちなみにこちら、日本で邦訳が出たのは2021年6月と、ほんの1ヶ月前。が、原著が出たのは2018年で、それがもう向こうでは記録的ヒットを打ち立てたようである。試しにAmazonを見てみると、
3万レビュー付いている。ちなみに鬼滅の刃最終刊のレビュー数が2万7千。それなりに硬い学術書でこのレビュー数はすごいと思う。あと、洋書が1100円で買えるとか、Kindleってやっぱりお得ね。
で、昨日から読み始めたけどこれ、「白人が白人に向けて書いている」というのが、けっこう重要な特徴である気がする。著者自身、あえて積極的に”白人”という主語を用いたるわと明言していて、そこが少し、日本人の僕などからすれば、読んでてどこか他人事感があったりもしてしまう。
もちろん、本書の主題は「人種的マジョリティが持つ特権性」にあるゆえ、それは日本にも通じるところで、白人の話だから関係ねえということではない。のだが、我がごとに引きつけようとすると、どうしても脳内で「白人→日本人」の変換が必要で、ちょい疲れてしまう。疲れてしまったのよ。面白い議論だとは思うので読み進めたいけど、まあやっぱ欧米社会の話やなあ感はある。
この本から引きつけて日本の問題を考えるよりかは、最初から日本について書かれた本を読む方が早いかもしれん。わからん。
もう一冊、最近読んだ本行きます。
- 服部泰宏(2016)『採用学』新潮社
この前、就活の報告資料をつくるときに手に取ってみた本。単なる企業人事向けのハウツー本ではなく、学術的に「採用」というものを分析したものとなっている。採用活動とはそもそもなんなのか、「良い採用」というものがあるとすれば、それはどのようなものか、日本の採用の歴史はどのように変遷してきたか.......そうしたことの分析を通じて、いわば「採用を科学的に考える」ということをやっている。アカデミックである。
これ、ひじょ〜〜〜〜に読みやすく、ためになること多し。全部で250頁ほどだけれど、頑張れば1日で読めそうである。なんとなーくでしか捉えられてなかった”採用”が、読み進めていくとだんだん明確になってくるという、独特のカタルシスがありんした。採用を科学的に分析するという、その視点がもう面白かったっす。
一箇所だけ中身の紹介。著者の調査によると、「入社後の業績や人材の離職に関して、採用者が実際的な責任を問われることがあるか」という質問を150社にしたところ、「問われる」と回答したのは10%未満だったそう。他にも「入社後の業績や人材の離職に関して、採用時のデータと紐付けて分析・把握を行っているか」という質問だと、イエスと答えたのは全体の5%らしいっす(本書46-8頁)。これはね、あのですね、ちょっとショックですよ。正直もっと責任取らせてもいいと思うぞ。
...比較的しっかり読んだ本としては、こんな感じ。他はパラパラめくったり、積み上げてるだけのものが多いので。
ちょっと前に読み終わったものとしては、
- 森本あんり(2020) 『不寛容論 —アメリカが生んだ「共存」の哲学』
もあり。個人的には、とてもよかった本。中盤ちょっと読んでて飽きてきたけど、最終章で一気に巻き返された。最後まで読むと感動ありました。
開いたら、過去の自分からのメッセージもあった。「おもしろかったです」だそうです。
読みたい本たち
買ったけど読んでない本達です。
どっちも基礎法学系の本。
一応、法哲学なるものをやってる身として、「法とは何なんぞや」ということについて、分野外の人にもちゃんと説明できるようになりたし。 前者『法学入門』は、今更読むにはちょっと基礎的すぎるかなと思ったけれど、最近出たものだし、人気だったので購入。後者『法思想史』は、基礎知識を付けるために購入。やっぱ「教科書」という感じ。読んでておもしれえおもしれえと涙が止まらなくなることはないけれど、基礎を押さえると言う意味で、この夏にちゃんと読んでおこうと思った本。
その点では、併せてこちらも。
- H.L.A.ハート著、長谷部恭男訳(2014)『法の概念 第3版』ちくま学芸文庫
ハートthe concept of lawね。この夏こそは、ちゃんと読みます、、、誓う。
それ以外だと、
ローゼンブラットさん。積ん読しているこいつも、いい加減読み終わりたいと思ってます。これについては、読んだらちゃんと感想も書きたいところ。 ..... あとは以前、このブログでおすすめいただいた小説たちも、この夏にちゃんと読みたいと思っています。忙し。この夏、忙し。もうすでに嫌になってき
そんな感
じです。読書の夏、到来よ。みなさんもこの期にぜひ、積ん読本を消化しましょう。
その前にね、D進なのか就職なのかあるいは無職なのか、ほんまにもう決めないとあかんのですよ、、、、、、、それを考えると、鬱、鬱やなあ。嗚呼。
*追記
カバーをくっ付けた本。ノリが乾くの待ち。