浅瀬でぱちゃぱちゃ日和

全部日記です。大学院でいろいろやってました。今もなんだかんだ大学にいます。

世界は学問より価値があるのか?

こんばんは。梅雨ですね。

このジメジメ感が親の仇より憎い人もいるらしいですが、僕はわりと好きです。シャワーが気持ちいいし、夏の近さを感じます。また賑やかになりそうです。

 

最近、「自分にとって価値のあることってなんだろお♪」と思い悩んでいます。それもこれも就活のせいです。これがまだまだ終わらんので、5月の中盤に入っても、そんなことを考えてます。

就活系のサイトやら、内定者の体験記やらを読むと、自己分析、マジ大事☆ミと誰もが言っています。「就職活動をするうえで一番大事なのは、どれ?」と就活生100人に聞いてみても、綾鷹並みの勢いで選ばれると思います。ほんとうに。

で、自己分析とはなんぞやというと、「何が自分にとって価値あるものか」とか、「私はどんなことを大切にしたいか」を発見するプロセスらしいです。自己の価値基準はどんなものなのか、そして社会に対してどんな貢献がしたいのか、どんな仕事なら納得がいくのか、そういうのを画定したいわけですね。それが志望動機とか自己PRに繋がってもくるので、大事だということ。

どんな仕事に就いて、どんな生活を送りたいだろうかとか、こんな僕でも就活中はやはりたくさん意識します。で、考えてみると、僕としては、本を読める生活が送れりゃいいなと思います。それなりに生活費を稼げて、仕事終わりや休日を読書の時間に充てられる。そのために、おっきい図書館とかある都市圏の方がいいですね。

あと、仕事のことで精神をすり減らさないとかも大事です。職場のことで毎日鬱々としたり、いかに睡眠時間を確保するかについてしか考えられないような生活は、できれば避けたいところですね。そんな感じで、それなりの生活水準で、かつ読書の楽しみが残された日々を望んでおります。

 

価値あることはなんぞや

話は変わるけど、近頃、研究熱が再燃していて、またボリボリと本を読んでおります。

 

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昨日今日は、ミルの『自由論』(去年出た関口訳)を頭から読んでいます。今までは、引用に使いたいとこだけ読むとかで、きちんと前から読むというのをしていなかったので。これがバリバリに面白いです(以下の小文字箇所は個人的感想なので、読み流してもらって結構です)。

『自由論』、ひたすらに社会による強制からの自由を説いた本と思っていたけれど、意外なことに、彼は作為義務的なものも主張しているんですね(p30)。その例としては、共同防衛の義務、法廷での証言の義務、同胞の救護義務など。あらゆる類いの強制から人は自由であるべきだと言ったわけではないということです。「他の人々の利益となる積極的な行為で、本人に強制しても正当な行為も数多くある」としていて、不作為によって他人の利益を損失させる者がいれば、そういう者は罰してよい(社会に対して責任を負う)と考えていたようです。

他人に危害を加えない範囲であれば、人は何をしてもよい(社会から責任を問われない)という内容と思っていたので、ここは少し意外でありました。ミルの主眼はあくまで、多数派の「感情」というよくわからんものを根拠にして、個々人の思想・良心の自由に干渉してよいのかいやダメだろということにあったっぽい。ので、これが「感情」とかではなく、明確に人々の利益や生死に関わる問題であれば、たとえ直接的な危害のないものでも、何かしら義務や強制が課されることはありうるという話らしいです。まだ途中なのでよくわからんが、この辺の「不作為批判」は結構面白いと思った。

...急に専門の話を始めたけど、何が言いたいかというと、こんな感じで本を読むのはやっぱり楽しいということです。読書には無類の喜びがあることですよ。そこでの喜びや楽しさとは、新しい知識や世界が発見できるというのもあるけど、それ以上に、「疑問が現れ議論が生まれる」というのがあります。読書の学問的・研究的な面白さですね。

学問とはなんぞやというと、一つの問いを究極的にまで問い詰めるという営みだと思います。いわゆる「真理の探求」というやつですね。何かに疑問を感じれば、そこから問いが産まれるし、問いに対して答えを出すには、関連するいろんな議論を追っかけたり、その議論の中に入り込む必要がある。先人がそれに対してどう答えたかとか、その先人の答えに現代人はなんと言っているかとか...... そしてこれ、無限なわけですよ。自分が答えを与えたとしても、それに対する新たな反論はありうるし、もしくはすでにそのことへの答えは出ているかもしれない。果たしそこに面白さを感じずにいられようか? いられませんよね。いられないと思います。

何が言いたいかというと、「己はどんなことに価値を感じるか?」という話から始めたけれど、最近改めて思うのは、僕が価値を感じるのはこういう世界であるなあということです。学問、やっぱおもしれえです。

 

世界は学問より価値があるのか?

ハチワンの話をします。

このブログの表題元ネタにもなっている、『ハチワンダイバー』。これは将棋にすべてを懸ける熱い熱い熱すぎる人間たちの物語なわけですが、そこでこんなセリフが出てきます。

 

世の中ってやつは将棋より価値があるのか?

俺とお前しかわからない話だよな

世界は 将棋より価値があるのか?(11巻、p80,1)

 

「世界は将棋より価値があるのか?」って、めちゃ熱いセリフだなと思います。僕もこれぐらいカッコイイことを言ってみてえものです。すなわち、「世界は学問より価値があるのか?」と。”真理の探究”以上に価値のあることが、この宇宙の内部に存在するだろうか。これよりも奥深さや面白さ真実を内包している営みが他にあるだろうかと。

ちなみに、『ハチワンダイバー』には”谷生”というラスボスが登場します。この男、何を企んでいたかというと、「81マスに世界を落とし込む」、すなわち全地球人に将棋を学ばせることを考えていました。なぜかといえば、将棋の思考様式を体得することで、世のあらゆる問題によりよい対処ができると考えていたためです。谷生自身、最初は世の中に対して無関心だったけれど、将棋を学ぶことによって、初めて世界との繋がりを感じられるようになるんですね。「目の前の将棋盤と、テレビで流れたイラク戦争が繋がった」的な描写も出てきます。ちょっとぶっ飛んでるけど、それぐらい将棋には根幹的な価値があるというわけで、僕の所感に引きつければ、多分”学問”も同じです。

あと、『ハチワンダイバー』は結局、アマチュアの世界の話なんですよね。将棋に魂を懸けるとはいっても、プロには届かなかった人たちの物語なわけです。上に挙げたセリフも、プロとかではなく、地下に閉じこもって将棋指してるアマチュアが発したものです。

「プロを目指す厳しさ」については作中で度々強調されていて、将棋で食って行くには、夢とか希望とかヌルいものは捨てて、とにかく勝つしかないと言われている。

 

奨励会員達”は... 街に溢れる... 「流した汗や涙の分報われる」とか

「想い続けていれば夢は叶う」だの

そんなもので、絶対”プロ棋士”になれない事を知っている

「汗も涙も報われず」「想い続けていれば」...「夢は叶うの?」と

逆に聞き返すだろう(19巻、p44,5)

 

「”プロ棋士”になるには...緩い希望など...足しにもならん」「勝つしかないんだよ 勝つしか 勝つしか 勝つしか」と、熱く語られます。僕が僕であるために勝ち続けなきゃならないって尾崎豊も歌ってたけど、多分そんな感じです。

そんなわけで、 「そんなに価値を感じるなら、それを仕事にすれば?」と思われるかもしれないけれど、まあ厳しい世界ではあるって話ですね。でもだからといって、そこへの夢や憧憬とかが潰えるわけではないということ。アマチュアにいながら夢を追い続けることもできるわけだし、そこに価値を抱き続けることもできるだろう、多分。

 

で、またまた就活の愚痴になりますが、就活をしているとよく、「あなたの人生計画と、当社で働くことの関連性を教えてください」的な質問を目にします。あるいは、「あなたと話していても、将来の目標が見えてこない。だから、うちで採用する意義が薄い」と面接で言われたとかなんとか。何かこう、長期的な人生の目標に、自社で働くことをどう位置づけているかを知りたいみたいです。

ただ僕は、そういうのをみると、「人生における目標と”職業”は、そんなに関連せねばならんのか?」と思ったりします。きっとみんなもそう思うよな。何に価値を感じるか、ということと、仕事として働くということは、必ずしも結びつかないように思います。仕事は生きるためにやるけど、生きることの価値はその他の領域で追求しますってのは可能であるはず。採用側としてはそれがリンクしている方がいいということなんだろうけど、そういう企業側の論理を置いとけば、「自己の価値観」と「仕事」が結びつかなければならない道徳的理由とかないように感じます。何かすごい当たり前のことを言っている気がするけど、就活が混迷してくると、そんなことも考えます。

そんなわけで、自己分析で己の価値観を確かめてはみるが、それと仕事が結びつくとは限らんし、なんなら学問より価値あるものなんてこの世にないだろという話でした(後者が極論過ぎる)。依然として就活、困ったことばかりで困ります。

 

読書にまつわるエトセトラ

あんま面白いこと言えた自信がないので、ついでに本読みライフハックでも紹介します。なんか書きたくなったので。

 

本の各部の名称

(新潮社のサイトから拝借→こちら

本にはこんな感じで、各部位に名前がついています。知っておくとたぶん便利。

 

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さっきも画像挙げたけど、僕は付箋貼り貼り大好き人間です。大切だと思ったところメモしておかないと、すぐ忘れちゃうんですよね。将来的には、どれだけ貼っても付箋の尽きない理想の国「付箋帝国」を作りたいと思っています。

ちなみに一般的には、図書館で借りた本には付箋を貼ってはいけないということになっています。なんでかというと、特に古い本とかだと、付箋と一緒に文字が剥がれる恐れがあるからですね。とはいえ、当然書き込みもNGです。僕は図書館でバイトしてますが、空き時間に書き込みをひたすら消す作業をやらされているので、みなさんも本当にやめてください。

 

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これは最近発見したライフハックですが、メモを残したいときは、本の見返しにでかめの紙付箋を貼っとくと、いつでも書き込めて便利です。図書館の本なら、返すときに剥がせばいいだけ。本を汚すこともなし。この便利さに気付いて以降、出会った人間すべてにこれを勧めています。

 

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ちなみに、付箋の一つ一つにもメモを残しております。カスみたいな感想でも、そのとき思ったこと書いとかないと、あとで読み返したとき「なんでここに付箋貼ってあんの?」ってなるんですよね。マジで書いとかないと忘れるタイプなので、メモはしつこいぐらいやってます。

こういう一つ一つの作業によって、僕の読書の喜びは支えられている気もします。読んでそれで終わりじゃなくて、「ここがおもっしぇかったぞ!」とか、できるだけ未来の自分へのメッセージを残しておくということですね。そういう過去の自分との対話とかも、学問の面白さには欠かせねえと思います。

 

 

そんな感じです

あんま意味ある話ができた気がしませんが、まあ今日はそんな感じっす。

ここのところ、就活の話ばっかりしている気がします。次回とかはまた好きな音楽・映画特集でもやりたいですね。もっと下らない自己満回を増やしていきたいよ。

 

betweeeeeen.hateblo.jp

 あと、前回ちょっとはっちゃけすぎて、自分の中で若干更新のハードルが上がってしまいました。これよりも面白いこと書かなきゃ的な。

でも今回みたく、基本は読んでも何にもならない瑣事ばかり書いていきたいと思います。よろしくね。

 

自由論 (岩波文庫)

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  • 作者:ミル,J.S.
  • 発売日: 2020/03/17
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