【本日の登場人物】
博士
図書館大好き博士。大学の図書館で働いているよ。
今日は「とっても楽しい遊びを思いついた!!」と言ってるよ。
リブ子ちゃん
近所に住む元気いっぱいの女の子。読書が大好き。
今日は博士に誘われて、遊び相手をしにやってきたよ。
請求記号とは?
やぁこんにちは! 私の名前は図書館大好き博士。普段は図書館で本の整理なんかをやってるよ!
今日は図書館で遊べる、とっても楽しいゲームを紹介したいと思います。 逆によっぽど図書館マニアじゃないと、全体的についてくるのが難しいよ。
私、ライブラリーで生まれたリブ子。図書館大好き。
博士に呼ばれてやってきたけど、今日はどんな遊びをするのかな?
今日やるのはね、その名も.....
日本十進分類法・請求記号連想クイズ!!
発明者はこの私です。
日本十進分類法・請求記号連想クイズ?? 漢字が多くて、なんだかとっても難しそう.....
名前は硬いけど、そんなことはないよ! それでは説明しよう!
図書館に所蔵されている本には、それぞれ請求記号というものが付いているよ。多くの場合、これは本の背表紙に付いているね。
今日はこの、請求記号を使って遊びます!
リブ子ちゃんは、こういうシールを見たことがあるかな?
あるに決まってるだろ舐めるなよ
そう、これは請求記号と言って、「本の住所」の役割を果たすものだよ。それぞれの本にこういう番号が付いているから、本たちは迷子にならずに済むね。
どういう番号の付け方をするかは、実は図書館ごとに異なっているよ。同じ本でも、違う図書館に行けば、違う番号が付いていたりするね。
同じ大学内でも、所蔵が変われば番号の付け方が違うんだ。
ほんとだ! 一番上はアルファベットを使ってるけど、それ以外は大体366から始まっているね。
この366という数字は、何を意味しているの?
いい着眼点だね! 実はこの366という数字こそ、日本十進分類法(NDC)の分類番号なんだ。下3つの本が、どれも366から始まっているのは、これを所蔵する図書館がどれも、日本十進分類法を採用しているからなんだよ。
日本十進分類法....? それって一体何なの? あとゲームの説明はまだ?? 毎回導入が長いよ。
日本十進分類法(NDC)
日本十進分類法(以下、NDC)とは、ジャンルに応じた本の分類の仕方の一つだよ。分類番号の付け方は各図書館で異なると言ったけど、実は一般的にはこの方法が採られているんだ(もしくはNDLC)。
具体的には、本の内容にそれぞれ3桁の数字を対応させていて、表にするとこんな感じだね。
制作:図書館博士
よく図書館の柱とかに貼ってあるね。ちなみにこれ、Wikipediaを参考に作ったけど地味に作業量がエグかったよ。
そういえばこんなの見たことあるわ.... 図書館の本は、こういう分類に沿って、番号と配置場所が決まっているのね。
著者記号
数字については分かったけど、その下のアルファベットとかは何なの?
たとえばこれだと、366の下にBと2と書かれているわ。これは何?
このアルファベットは、著者記号と言うよ。その本の著者の頭文字を取っているんだね。そして下の数字は、まあ単なる順番みたいなもの。366のBのうち、この本は2つ目ですよ的なことを表してるよ(上二つだけだと、同著者の本とかを区別することができないからね)。
ただ、私が勤務する図書館では、この2段目のアルファベット、著者名ではなくて書名から採られているよ。そのあたりも、図書館によって異なるんだね。
普通なら、真ん中の段の「B」は著者名の頭文字だけど、図書館によっては書名の頭文字を取っているってこと?
Exactly!! だから、ここでの「B」は、Bから始まるタイトルの本であることを示しているよ。
請求記号連想クイズ!!!!
そういえばだけど、さっきから例に出しているこの本は、結局なんの本なの?
なんだかとっても人気みたい! どこでも貸し出し中だし、予約もたくさん入ってるね。
こんな人気な本、私「東京喰種」ぐらいしか知らないよ!
今日はそれを当てに行くよ。これが誰の、何の本なのかをね。
え? この本が何かを当てるの??
そういうこと! もう既にヒントは2つも出ているんだ。
一つ目のヒントは、分類記号が366だということ。これによってその本のジャンルが分かるね。
もうひとつのヒントは、タイトルがBから始まるということ。この分野でBから始まって、そして予約でいっぱいの人気本、その気になれば当てられるはずだよ!!
いやさすがに無理ゲーでは? 情報が少なすぎんか。
そんなことないよ!
まず366だから、分野としては「社会(学)」になる。そして著書名が、Bから始まっているから.......
もう少しヒントを出すと、他の図書館(法図書)では、著者記号がGになってるね。つまりは、この本の著者の頭文字はG。社会学の本で、タイトルはBから始まり、Gがイニシャルの著者。更に言うと、予約がたくさん入ってるから、比較的最近の本だよ。
いやマジでわからん。てきとうに言うけど、千葉雅也『勉強の哲学』とか?
あ、でも著者のイニシャルがGだから違うか。じゃあジバニャンの『勉強の哲学』で。
ブブー^^ 正解は、デヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ』でした。去年の7月に出た本だけど、これは今でも大人気だね!
↓が正解の画像になるよ。
こうやって、正解がわかると面白いね! どんどんやっていくよ!
このゲーム面白いか?
どんどんやっていくよ!
人気ワードを当てよう
練習問題 334.4 ‖ I ‖ 37
全3問! さすがに書名を当てるのは難しいから、ここからはキーワードを連想するゲームにするよ。
書名を当てに行くのは難易度高すぎるね。でも「キーワードを連想する」ってどういうこと??
さっきも言ったけど、図書館の本は、まず分野(NDC)ごとに配置されて、その後は著者名頭文字順、あるいはタイトル頭文字順に並べられるよ。
一つ例を見ておきましょう。
この画像、よく見ると、まずは分類記号334.4の本が集められているね。そしてその中で、タイトルの頭文字、つまりIから始まる本が並べられています。
ふむふむ。確かにここ、タイトルが「移民」から始まる本が集中しているわ。『移民の時代』とか、『移民の記憶』とか......
そうそう!! で、ここがポイントだけれど、実はこの棚、分類記号の334.4と、頭文字のIという2つの情報だけで、このIは「移民のI」だろうというのが推測可能なんです!
というのも、分類記号334.4は、分野「経済」の中の「人口・土地・資源」に該当するんだ。で、「人口・土地・資源」の分野の中で、Iから始まる頻出ワードと言えば、「あ、そうか、移民だ!!」ってわかるね。
わかるわけなくねえか?? どんな図書館マニアだよ。
まあこの問題は、例題にしてはちょっと難しかったね。次からはもう少し簡単になるよ。
そんな感じでリブ子ちゃんには、分類記号とタイトルの頭文字をヒントに、そこで使われているキーワード(今回の場合は「移民」)を当ててもらいたいんだ!!
それこそが私の作った闇のゲーム、【日本十進分類法】請求記号連想クイズだよ!!
仕方ねえから付き合ってやるか.......
第1問 367.2 ‖ J ‖
それじゃあ全3問でやっていくよ!!
第1問
367.2 ‖ J ‖ 120
数字はNDC、アルファベットは本のタイトルの頭文字を表しています。ちなみに最後の数字(120)は、分類記号367.2で、タイトルJから始まる本が、少なくとも120冊はあることを示しているよ。それだけこの分野でメジャーなワードが使われているということだね。
はい、じゃあこれが何のJかを当ててね! この分野では結構メジャーなJだよ。何のキーワードかな?
今度は当てに行ったるわ。
まず、367.2だから、分野的には「社会学」ね。社会学とわかったところで、範囲広すぎるから何も分からんけど。
もうひとつのヒントは、書名の頭文字がJ。そして、367.2には、Jから始まる書名の本がたくさんあるらしい。
これはもうぶっちゃけ、勘でしかないけどけど......
ジェンダーのJ!!!
・・・・・・
正解!!!
ジェンダーはスペル的にはG(ender)だけど、ここは日本の図書館だから関係ないね。ちなみに、「女性」でも同様に正解でした。
367.2は、正確には「家族問題、男性・女性問題、老人問題」などのジャンルになるよ。ジェンダー論などで近年発展が目覚ましい分野だね。
今回はギリギリいけたわ。私こう見えて、フェミニズム系で博士論文書いてるからね。専門分野ってわけよ。
リブ子ちゃんのスペック高。ちなみに私は修士までしか出てないよ。
逆にお前は博士じゃないのかよ。
第2問 134.2 ‖ K ‖
第2問、少し分野を変えてくよ。まあまた文系学問だから、理系の諸君は置き去りだけどね。
第2問
134.2 ‖ K ‖ 40
さあ、これは何のKだ?
134.2.... まず、NDCで言うと、130 哲学の中の「西洋思想」ね。その中のK.....? 西洋思想でKってなんやねん。「殺しの哲学」とか?
多分そんな学問ないよ! 正直これはイージーだと思ったけどね。みんなはもう分かったかな? 画面の前のおまえらのことだよ。
いいからもう正解教えてよ。
正解は、、、、
カントでした。西洋思想でKといえば、やっぱりこの人。「カント」で始まる本は山ほどあるよ。
カントぐらい、分かっとカントいかんよ〜〜〜?
はい出ました哲学特有のカントマウンティング。カントぐらいみんなが知ってて当然、だなんて思うなよ。だから哲学は象牙の塔だ閉鎖的だとか批判されるんだからな。金輪際内輪のマウンティングはやめてくれ。
正直、そっちが怒られるとは思わなかったわ。
第3問 413.3 ‖ B ‖
リブ子ちゃんの機嫌も損ねてきたし、これで最終問題です。
ラスト問題
413.3 ‖ B ‖ 40
最後は理系分野からの出題だよ。NDCはだいたい、300までが文系分野、400以降が理系分野だったりするね。700の「芸術」から、また文系っぽくなるけど。
今回のワードは、専門とかを問わず、理系なら馴染みがあるかもしれない。俺は文系だから知らんけど。
413.3は、自然科学の中の「数学」ね。で、数学分野の中から、Bで始まるもの。なんやろね。
ちなみにこれも、所蔵数がかなり多いね。テスト前にみんな借りてってるよ。1年生がよく使ってるかな。
わからんわ。もう答え言っちゃってよ。
正解は、、、
微分です。
ここに来て微分かい。
あんまり、いい問題なかったのよ。ごめんな。
まとめ
いかがだったかな? 私が考えた「請求記号連想クイズ」は。え? マニアックすぎる?
昨日の勤務中に急に思いついた遊びだけど、思いついたときはそれはもう仕事どころではなかったよ。早くこれで遊びたいって。
まあ、面白さ的にはまあまあかな。やってて楽しいかは微妙だけど、図書館に詳しくなれそうなところはいいね。
あと、いろんな分野から出題するんじゃなくて、専門の近い者同士でやったほうが楽しいだろうね。知恵比べ的なこともできるから。
ありがとうリブ子ちゃん。
図書館にはまだまだ、いろんな楽しみ方があると思うよ。私も本物の博士になれるよう頑張るわ。みんなも、マニアックな遊び方を見つけてみてね!!
ばいば〜〜〜〜〜い
<参考になるサイト>