【本日の登場人物】
図書館大好きハカセ。大学の図書館でアルバイトをしているよ。本を読んだり眺めたりするのが大好きなんだ! 嫌いなものは大学生。うるさいしすぐ騒ぐから。
リブ子ちゃん
近所に住む元気いっぱいの女の子。図書館大好き! ハカセのところによく遊びに来ているよ。ハカセのことは人として尊敬してないけど、それ以外でも特に尊敬はしてないよ。
古代生物オパビニア
カンブリア紀に生息していた古代生物。古代生物だから図書館のことが何もわからない。その分、素人目線での質問をしてくれるよ。このすぐあと絶滅した。
自宅の本棚を図書館っぽくしてみようの会
こんにちは!! 私の名前は図書館大好きハカセ。「本が好き」というところにアイデンティティの全てを賭けている人間さ。
今日はね、面白い本棚の整理方法を思いついたから、それをみんなに紹介したいんだ!
私、ライブラリーで生まれたリブ子。厩戸王と名前の付けられ方のノリが同じなの。そんな私も図書館大好き!!
今日はハカセのところに遊びに来てみたよ!
こんにちはリブ子ちゃん。早速だけど、ハカセはこの前、大学院の修士課程(博士前期課程)を修了したんだ!
今は修士号の保持者だよ!! すごいでしょ。
そこは博士じゃないんだ。
それでね、大学院を卒業したときに大変なのが、研究室の引き払いだね。研究室に置いていた本とかを全て、ちゃんと家に持って帰らなきゃいけないんだ。
特にハカセは文系(哲学系)の院生だったから、たくさんの本を運ばなきゃで大変だったよ。
文系大学院生あるある:出て行くときに荷物をちゃんと片付けない。
ハカセはちゃんと全部持ち帰ったよ! 見上げるほどの偉さだね。
ただ、家に持ち帰ったはいいけど、本が全然部屋に収まらなくて困ったんだ。本棚に入りきらなくってしまってね。収納のこととかあんま考えてなかったよ。
こんな感じになっちゃった。
見るに堪えないThe 汚部屋!! こりゃ大変ね。
こんなにたくさんの本に囲まれて、ハカセは何をしている人なの?
..........
ワシは.......
何もしてない人さ......
ナゾナゾ博士がキッドと出会ったときのパロディをありがとう。
本の整理を行おう
冗談はこの辺にして、今日は本棚の整理の話になるよ。現状の汚部屋の惨事に対処しつつ、新しい本棚の並べ方に挑戦していくんだ。
ひとまずは、新しく本棚を買い足して、散らばってた本を収納して並べてみたよ。
こんな感じで、一旦は収納ができたんだね。汚部屋も解消したよ。
でもなんでかな。この本棚を見ていると、心がざわついてしょうがないんだ。何だろうね、この焦燥と違和感は.......
もしかして失恋の記憶でも蘇った?
そうだったら「ざわつき」程度じゃ済んでないよ。人生いろいろあるからね。
そうじゃなくて、この違和感の正体は、本の並びがバラバラなことにあったんだ。たとえば、さっきの画像の一番下の段に注目してみて。
こことか見てよ。『動物からの倫理学入門』『概説 西洋哲学史』と来て、次が『嘘発見器よ、永遠なれ』なんだ。絶対こいつの居場所ここじゃないだろ。その隣がまた『論理サバイバル』になるし、、、なんだかすごくモヤっとするよ。
なるほどね! つまりは、本が全くジャンルごとにまとまっていないことにざわつきを覚えているのね。
確かに分類はバラバラだわ。その上の段でも、『スピッツ論』が変なところにあるし。
そうなんだ。これじゃあ片付いてはいるけれど、本の並びに何の規則性もなくて、「ただ置いてるだけ」 になっちゃってるんだ。これがマジで無理。
一応は図書館で働いている身として、不規則な並びがどうしても受け入れられないよ! 秩序が保たれてないと気が狂いそうなんだ。
暴走した正義みたいになってるけど大丈夫? さすがはカオスや無秩序を受け入れられない不寛容人間!!
そうなんだ、私は秩序が大好きで、可能なら自分以外の全てをコントロールしたいと思ってるよ。人も、本も。それができないと不安で不安で仕方がないんだ。
怖こいつ。権力握らせちゃダメなタイプだ。
だから今日は、自宅本棚の本たちも、規則正しく・秩序を保って・ジャンルごとに並べていくよ!!
そしてそのときに、その見た目を完全に「図書館のそれ」にしたいんだ。図書館ほど、本が規則正しく並んでいる場所もないからね!!
でも、図書館の本棚のようにって、具体的にどうするの??
つまりはだね、請求記号を割り振って、図書ラベルを貼った上で、本たちを分類番号順に並べていくんだ。これは文字で書くより、画像で示した方が早いかな!!
↓のような感じで、現状はただ雑多に置かれてるだけの本たちを、
【Before】
↓
↓
↓
↓
【After】
ラベルシールを貼って、分野ごとにまとまるよう並べかえていくんだ!!
Afterで急に画質よくしてるのがセコいけど、確かに図書館の本棚っぽくなってるわ! 法学・政治学あたりの近い分野でまとまってる感もある!!
割と図書館っぽいでしょう!! そのための作業をやっていくんだ。
これを私は「自宅本棚の図書館化」と名付けたよ。分類記号を決めて、ラベルシールを貼って並べることで、自宅の本棚を「図書館っぽく」していくんだ!!
なるほどね! 「秩序」という妄執に取り憑かれてるハカセだからこそできることだけど、確かにやってることは面白そうだわ!!
こうして世の中から一つ「カオス」を消せると、すっごく気持ちがいいんだ。
で、今日はこの作業プロセスについて解説するよ。結構長くなるから注意してね!!
本好きとしてこれは見逃せないわ!
いや見逃してもいいんだけど、そしたらハカセが可哀想すぎるから一通り聞いてあげるわ!!
自宅本棚図書館化プロジェクト
先に作業手順を大まかに示しておくね。本棚を「図書館っぽく」する上で、だいたい次の3つの作業を行うよ。
作業1.蔵書目録を作る
蔵書目録というのは、自分がどんな本を所持しているかを、全部表などにまとめたもののことだね! 今回はExcelでこれを作っていくんだ。
目的は「蔵書の管理」だね。最低限、こういうものがないと図書館っぽいとは言えないだろうからね。
「本の管理もできてねえクセに図書館を名乗るな」って、全国の図書館ファンから詰められそうだもんね。地下室で拷問されて最後はきっと水攻めの刑よ!!
ちなみに、ハカセは何冊ぐらい本を持ってるの?
だいたい200冊ぐらいだったよ。あんまり少ないと図書館っぽくならないし、多すぎても作業が大変だから、ちょうどいい数だったね。
でも、これを全部人力でExcelに登録していったから、正直気が狂うかと思ったよ。
ブラック企業の体験入社かな? もっと効率的な方法とかなかったの?
もちろん「人力」とは言っても、全部手打ちで入れていったわけじゃないよ! それなりに文明の利器も用いたんだ。その手法は後々紹介するよ!
それでも200冊はキツかったから、正気を保つのが大変だったね。
もはやだいぶ狂人だと思うけど、どうやって自我を保ったの?
ずっと米津玄師の1stアルバム『diorama』を聴き続けて耐えたよ。私はこのアルバムが大好きなんだ!!
ハカセは米津について保守的(コンサヴァ)だから、『YANKEE』以降のアルバムを認めていないよ!
私は米津についてリベラルだから、「Lemon」も「パプリカ」も大好き!! でもそんなことは大半の読者にとってどうでもいいんだね。
とりあえず作業の一つ目は、気の狂うような目録作成作業ってことです。手順はまた後ほど解説するよ!!
作業2.「請求記号」を決める
作業の2つ目は、図書ラベルに書き込む請求記号を決めることだね。これを決めて、本たちの「住所」を決定していくよ。
これ、図書分類法はどうするの? 例えばNDCとNDLCとか、多分どっちかに決めないといけないと思うけど。
図書分類法ね。やっぱりNDCとNDLCで迷ったけど、最終的にはNDCにすることにしたよ。見慣れているものが一番だからね!
…………
ハカセは社会科学系の本が多いんだし、NDLCの方が向いてたんじゃない?
あの、すみません、通りすがりの古代生物です。
なんだこいつ怖。
すみません。いきなりなんですが、さっきから言ってる、「請求記号」とか、「NDC」とか「NDLC」って、いったい何なんですか?
古代生物ゆえ、全く話についていけません。
絶滅したはずの生き物オパビニアくん! 丁寧な質問をありがとう。じゃあ請求記号について簡単に解説するね。
オパビニアくんは図書館に行ったとき、本の背表紙に↓のようなラベルが貼られているのを見たことあるかな?
こういうやつ
うーん、たぶん、あると思います。
こういう数字や文字のことを、まとめて請求記号と呼ぶんだ。図書館の本には、大抵これがラベルにされて貼られていると思うよ。
そしてこの請求記号というのは、図書館の本にとっての「住所」になるんだ。この321.1とかが、本の居場所を示しているってわけ! 図書館では「書名」で本を探すより、こっちで探した方が早かったりするよ。
請求記号は本の住所なんですね。じゃあこの、321.1とかの数字って、どうやって決められてるんですか? 神様の気まぐれ?? 僕たちの絶滅と同じく。
いい着眼点だね! もちろん神の気まぐれではないよ! 君たちの絶滅は知らんけど。
この数字の部分(分類記号と言う)は、「図書分類法」に基づいて決められているんだ。図書分類法というのは、本を効率的に探せるようにするための、並べ方のルールのことだね。「法」とは付いているけど法律ではないよ。
図書分類法にはいくつか種類があるの! さっきから言っているNDCとかNDLCというのもその一つね!
例えばNDC(日本十進分類法)では、図書の分類を3桁の数字(と小数点以下)で表すんだ。140は≪心理学≫、330は≪経済≫、910は≪日本文学≫といった形でね。
分類は大まかに、↓の表のような感じになるよ。
[作成:図書館ハカセ]
例えば法学の本なら、300番台≪社会科学≫の中の、20番台≪法律≫に該当するから、ひとまず320番台。そこから一の位以下も見ていくと、これは321.1だと決められたりするね。こうやって、ある種のルールに従って、分類記号は決められていくんだ。
なるほど! 例えば僕についての本だったら、400番台≪自然科学≫の、450番台≪地球科学・地学≫あたりが該当するんですね!
そうなの? いや知らんけど。
急に怖。457が≪古代生物・化石≫になるらしいので、多分そうだと思います。
あと、メジャーな図書分類法にはNDCの他に、NDLC(国立国会図書館分類法)なんかもあるわ。
こっちだと数字じゃなくて、分類をアルファベットで表すのが特徴ね!
確かにNDCの方が一般的ではあるけど、NDLCは国立国会図書館で採用されてるの(というかそこで生み出された)。こっちの方が新しい分類法だし、しかもあの国立国会図書館よ! 規模も蔵書数も他と比べものにならないわ。
ハカセはどうせ権威主義者なんだし、国のやり方に従うのがお似合いよ!!
確かに私はゴリゴリの権威主義者だけど、同時にアルファベットがめちゃ苦手なんだ。いまだに脳内でABCの歌を再生しないと、アルファベットの順番が分からないよ。ちなみにこれって普通だよな? LがHの前か後かとかって皆わかるもんなのか??
そんなわけで、選ばれたのはNDCでしたってことになるんだね。自宅本棚図書館化ではこっちを使ってくよ!!
あの、NDCとかNDLCとか、なんかごっちゃになります。そもそもこれって何の略称なんですか?
いい質問だね! NDCは、Nippon Decimal Classification(ニッポン・ディシマル・クラシフィケーション)の略で、日本語にすると「日本十進分類法」だよ。ディシマルは十進法という意味なんだね。
NDLCは、National Diet Library Classification(ナショナル・ダイエット・ライブラリー・クラシフィケーション)の略で、日本語だと「国立国会図書館分類法」ね。Dietは痩せる方じゃなくて議会・国会という意味!!
ちなみにこれ、マジでイかれてるよな。NDCとNDLC、こんなに字面似せといて、同じなのはCのClassificationだけなのかよ。せめてNはニッポンかナショナルで統一しとけって。
そこにキレてもどうしようもないと思うけど。
まあそんな感じで、図書館の本は、分野ごとにきっちりナンバーが割り振られて、その順通りに並べられているという話でした。まさしく秩序の世界だね。心に安寧がもたらされるよ。
で、それを自宅の本棚でもやっていこうぜって話よね?
その通り!! NDCに従って、各本の分類記号を決めてくよ。そして↓のような「図書ラベル」を作って、それを背表紙に貼っていくんだ!
こんな感じで、一番上は分類記号、真ん中は著者名頭文字のアルファベット(イニシャル)、一番下は巻冊記号の数字を書くことにしたよ。この辺、何を書くかは図書館ごとに異なるけど、あくまでハカセはこれで行くという感じだね。
ちなみに巻冊記号というのは、「分類記号」と「著者名頭文字」が被った本が出たときに、それらを区別するための数字のことだね(例えば、夏目漱石の『こころ』と『虞美人草』は、分類記号も著者名も同じになっちゃうから、一番下の巻冊記号の数字を変えることで区別するなど)。
で、蔵書目録に登録した約200冊分、こういうラベルを作っていくんだね!!
シンプルに気が狂いそうな作業量ね!!
終わりの見えない地獄のような作業だった。
これも『diorama』を聴き続けることでなんとか耐えきったよ!!ハカセは令和になっても「ゴーゴー幽霊船」や「駄菓子屋商売」を無限に聴き続けてるんだ!
もはやこいつが古代生物だろ。
作業3.本の装備&配架
長かったけど、ここまでが作業の2つ目だね。最後に3つ目の作業! 本の装備と配架をしたら、いよいよ終わりになるよ。
ようやく最後の作業ね。本の装備っていうのはいったい何をするの??
装備というのは、一言で言えば、ただの本を「図書館の本として」並べるための作業だね。
例えば図書ラベルを貼り付けたり、あとは本のカバーをボンドで接着したり、蔵書印を押したりと、「図書館っぽい」本を作っていくよ。
買ってきた本をそのまま図書館に並べるわけにはいかないから、色んな処理や作業を施すわけだね。そうした作業のことを、広く「装備」と言ったりするよ(*フィルムカバーを取り付ける作業のみを指す場合もあるけど)。
本それ自体に手を加えていくわけね! もうメルカリとか古本屋で売れなくなっちゃいそうだけど!
本と私は友達だから、友達を売るようなことはしないんだね。
そこまで終えられれば、あとは本を実際に並べるだけなんだ!!つまり配架をすれば完成!!
そうすれば、晴れて自宅本棚図書館化プロジェクトも完了なんだ!! よっしゃーーーーーーー!!!!!!!
そこまでやってようやく完成なのね。
えっと、ここまでの作業をまとめると.......
- 全部の本を記録した蔵書目録を作り、
- 本たちに割り振る請求記号を決め、
- それをラベルシールに書き込んだら、
- 装備として、ラベルを本に貼ったり、カバーを貼り付けたりして、
- そして最後に、実際に配架をして終わり(200冊分)
って感じかしら。
.........シンプルに作業量エグくねえか??
まあ、エグいね。全部で丸々1週間ぐらいかかったよ。7日間ひたすら家に籠もってこの作業だけをしていたんだ。
まあ、ハカセは本と戯れることぐらいしか楽しみがないから、全然平気だったんだけどね!! ハハ、ハ。
ハハ
実際の作業を追ってみよう
ここまでが全体のプロセスの解説!!
で、ここからは、実際に上記の各作業をどう進めていったかを解説していくよ。蔵書目録をどういう風に作ったかとか、どんな風に請求記号を決めたかとかだね。
みんなも実際の手順、興味あるでしょ??
すでにかなり長いので、手短にお願いします。
できるだけダイジェストでやっていきます。長くてごめんね。
「もう完成形だけ見せてくれよ」という人は、しばらくスクロールしてくれれば大丈夫。「ようやく完成!!」のところまで飛ばしてもらってOKです。怨んだり呪ったりしないから。
本当なら記事内リンクとか作りたかったんだけど、情弱には無理だったからしょうがないね。
作業1 蔵書目録の作成
まずは作業1、蔵書目録作成の作業です。
この作業では、全部の本の題名を、一つずつExcelに打ち込んでいくよ。そうやって蔵書をデータベース化するんだ! (著者名・出版年とかはひとまず省略したよ)
全部手入力でやっていくとか IT原始人かな?
さすがに「全部手入力」はブラックすぎるから回避したよ。ちゃんと文明の利器も使っていくんだね。
今回は、カバーの裏表紙にある、ISBNを使います。これで効率化を図るんだ。↓の画像の四角の部分だね。
このバーコードの部分、 978......から始まっている13桁の数字がISBNだよ。
ISBNは本の「識別」に関わる数字で、これさえ分かれば、本の情報が特定できるようになるんだ。書名とかも一発でわかるよ。めっちゃ便利だよね。我々にとってのマイナンバーみたいなものだね。
そうやって私たちも、いずれ名前じゃなくて「数字」で管理されていくようになるんだわ!!
管理社会ディストピアは置いといて、重要なのは、このISBNがバーコードで読み取れるということだね。iPhoneとかでもちゃんと読み取れるよ。
という作業をしていくよ。iPhoneとMacBookは、クリップボードの共有ができるから、こういう合わせ技が可能なんだ。
書名を手で入力してくんじゃなくて、まずはISBNを読み込むのね!
その通り!! iPhoneにバーコードをかざしてISBNを読み取って、それをMacBookの方で貼り付けていくんだ。↓は作業風景になるよ。
iPhoneを高台に設置して、その前にひたすら本をかざしていきます。で、読み取ったら、MacBookとクリップボードを共有して、Excelにコピペで反映させていくよ。
ちなみに上の画像は、3DSで撮影したからこんなホラーみたいな画質なんだね。
ハカセはiPhone以外のカメラ、3DSしか持ってないもんね。一眼レフから最も遠い存在よ!!
まあこんな感じで、ひたすらISBN(バーコード)を読み取って、一つ読み取る度に、PCを操作してExcel側でペーストしていくよ。ずっとその繰り返しなんだ。
めちゃくちゃ虚無感を覚えながらも、この作業を続けていくと、
こんな感じで、ISBNの一覧が出来上がるよ!!
気持ち悪!! これじゃただISBNがわかっただけで、肝心の書名はわからなくない?
いや、そうじゃないんだ。ISBNは本を識別するための数字だから、これを図書検索システムで検索すると、書名がちゃんと出てきてくれるよ。↓の画像はその一例だね。
ISBNで検索すると、ちゃんと書名がヒットしてくれる。
こんな感じで、図書検索システムでISBNを検索していくよ! CiNii Books(大学図書館の本を探す)とかが、このサービスとして便利だったね。非常にサクサク動いてくれるんだ。
CiNiiといえば研究のお供CiNii Articlesね。CiNii Booksの方使ってる人間初めて見た!!
ハカセも初めて使ったね。思わぬところに需要があった。
とはいえ、毎度CiNii Booksを開いて検索していくのは大変だね。だから更なる効率化のために、Excelの関数「HYPERLINK」を使って、「クリックすると自動でCiNii Boooksを開いてISBNを検索してくれるセル」を作っておくよ。
=HYPERLINK("https://ci.nii.ac.jp/books/search?advanced=false&count=20&sortorder=3&q="&A4&"&update_keep=TRUE","CiNii Booksで検索")
こんな感じだね。仕組みはよくわかってないけど、ひとまずはこうすると「A4列(ISBN)をCiNii Booksで検索してくれるボタン」ができあがるんだ。本当はもう少しきれいにURL書けるかもしれないけどね!!
あとはこうして、
画面分割してひたすら、
- セルのリンクをクリック(CiNii Booksを開く)
- CiNii Booksで書名のコピー
- Excel側でペースト
の作業を繰り返していくんだ。文字だけだとわかりにくそうだから、作業風景をgifにしてみたよ。gifとか10年ぶりぐらいに作ったわ。
こんな感じで、ExcelとCiNii Booksを行ったり来たりして、書名の欄を埋めていくんだ。画質は粗いけど、少しイメージは掴めたかな??
これを200冊分やります。心を無にして。
怖っ。「効率化」って言っても、これじゃ手入力に毛が生えた程度じゃない?
いや、それがそうでもないよ!!実を言うとここでは、書名をコピペで入力してるから、打ち間違えが生じないという大きなメリットがあるんだ。
蔵書目録は、本の「検索」にも使うから、タイトルのタイプミスは致命的になっちゃうんだね。そういう意味でも、手打ちよりはだいぶマシになってると思うよ!!
うーんそれでも、APIとか使えばもっと自動化できたんじゃないかしら! 1つ1つコピペはさすがに気が狂いそうだわ!!
ハカセのネット技術は2012年ぐらいで止まっているから仕方ないね。2012年と言えばアルバム『diorama』が発売された年だよ! もう10年前なの??
で、あとはとにかくコピペしていって、一通り作業を終えると、↓の画像みたいになるんだ。
おお! だいぶ蔵書目録っぽい!
これがだいたい200行目まである感じだね。ひとまず、蔵書目録作成の作業はこんな感じだよ!!
で、今度はこれを活かしつつ、請求記号の割り振りを行っていきます。
作業2 請求記号を割り振ろう
今度は本たちに、請求記号を割り振っていくよ。この本の分類記号はこれだ、というのを決めていく的な感じだね。
ここからようやく「図書館化」っぽくなってきそうね。その作業はどうやったの??
請求記号の割り振り方は、大きく2つあるね。
1つは、NDCの分類表を見ながら、自力で番号を割り振っていくというやり方。「この本は基礎法学の分野だから、320番だ」的な感じで、自分で図書館司書になりきって、分類を決めていくやり方だね。
もう1つが、既存の分類をパクる参考にするというものだよ。図書館で採られている番号を参照して、それを採用していくという感じだね。
要するに自力で決めるか他力に頼るかね。分類を自分で決めるなんて大変そうだけど、ハカセはどっちにしたの?
大変申し訳ないけど、今回は他力に頼ることにしたんだ。これが初めての試みだから、難易度の低い方にしちゃったよ。何ごとも模倣から始まるからね........
自分で決める方が楽しそうだけどね〜〜〜〜無難な選択を取ったな!!
しょうがないね。怖いんだ、「わからない」ってことが。他人の権威に従って安心していたいよ。
それで、一般的に採用されている分類記号を調べるわけだけど、ここでもさっきのCiNii Booksが役に立ってくるよ。
実はCiNii Booksのページでは、各大学図書館で採用されている分類記号が確認できるんだ。↓の画像みたいな感じだね。
こんな感じで、「分類」が明記されているんだね! ありがてえ!! これを使って、一般的に採られがちなNDC分類を確認していくよ。
人が決めたのに便乗するとは、随分楽な商売だぜ。
とはいえ、全部の本で模倣ができるわけじゃないよ!
というのも、これはあくまで「図書館の本を探す」サービスだから、発売したばっかりの本は登録されてないんだ。発売日に買った本とかは、まだどこの図書館にも入ってないからね。
新刊はこんな感じになる
ので、全部の本で頼り切りになれるわけじゃなくて、新しく買った本とかは自分で分類記号を決めていくことになるよ。
今回の作業では既存のを参考にしたけど、今後はできるだけ自分で割り振っていくんだ!
その意気だハカセ。それでこそ自宅本棚図書館化だ。
というわけで、今回に限っては既存のを参考にしていくよ。
まずは「請求記号」を書きこむためのセルを作っておきます。↓のような感じ。
そしたら、さっきと同様、
- CiNii Booksのリンクを開く
- CiNiiのページで「分類」を確認
- それを参考にして、Excelの方に数字を反映させる
という作業をやっていくよ!! まあほとんどさっきと同じだね。実際の作業風景は↓の通りだよ。
これまた地道な......
これがIT原始人の限界なんだ。悟りを開く気持ちでやったけど、ここまで来たら単純作業にもだいぶ慣れてくるね。徐々に虚無への耐性ができてくるんだ。
ちなみに、請求記号の記入が終わると、Excelの方はこんな感じになるよ!
ほう!! これでより「蔵書目録」っぽくなったかも!
ちなみに、ところどころ赤くなってるセルは何? 血?
血じゃないよ! これはExcelの機能で、「重複のチェック」をオンにしているんだね。この列だけは、同じ値があるときはセルを朱くするようにしているよ。
なんでかというと、ここが重複する場合(ラベルの上段・中段が同じになる場合)は、下段の巻冊記号を書き分けないといけないからだね!! 1とか2とか。
血じゃないのか〜〜〜残念!! あと、数字の横に書かれているアルファベットは、著者名のイニシャルなのよね?
YES。分類記号を調べるついでに、こっちも確認して書き込んでいくよ。これなら最初から、書名だけじゃなくて著者名も記録しとけばよかったとちょっと後悔したよ。
ともかく、これで請求記号を割り振る作業は終わりみたいね!! そろそろ終わりが見えてくるかしら?
作業3 装備&配架を行おう
最後!! ここまでは何気に全部Excel上での作業だったけど、ここからは、実際に現実の本に反映させていく作業になるよ。
逆に言えば、ここまではまだ下準備なのか.......
そうなんです。ここからも地獄の単純作業が続くよ。
まずは事務用品店に行って、↓のような「図書ラベルシール」を買ってきます。
こういうのだね!店頭に置かれている場合は稀だから、基本取り寄せになると思うよ。
ちなみにこれはコクヨの商品で、84片で230円でした。間違って貼ってもめちゃくちゃきれいに剥がせて、これマジでよかったよ。
そんな宣伝しても、個人でこれ買う人間ほとんどいないだろうなあ......
2回取り寄せを行ったけど、店員さんにも若干「なんだこいつ」的な顔をされたよ。
で、これを仕入れたら、「作業2」で決めた請求記号を書き込んでいくんだね。蔵書目録で作ったやつを反映させていくよ。
こんな感じで、請求記号を書いていったら、
あとはもう、貼る。貼って貼って貼りまくる。貼っていくのが僕らの青春!!
途中で間違えても大丈夫!! このシール、本当にきれいに剥がせるから。ありがとうコクヨーー!!!
これが青春なの? また地獄みたいな作業になりそうね...... 手伝わされなくてよかったわ。
ずっと部屋に籠もりきりで、孤独に作業を続けた1週間だったよ。
でも、本当は、孤独なんかじゃなかったんだ。僕のそばにはいつでも、大好きな本たちがいてくれたから.........
これで作業終わりか? ならもう帰るけど。
ごめん、待って。あと2つぐらい作業あるから。
残る作業の1つ目は、表紙カバーの貼り付け&固定だね。
おそらく多くの図書館で、カバーは糊で貼り付けるか、あるいは最初から捨てちゃってると思うよ。利用者が紛失したりしたら困るからね。
本のカバーって、普通にあのカバーのことだよね?
そう、あのカバーだね。あれを、紙用のボンドで貼り付けて固定してしまいます。
こちらコクヨのペーパーボンド。またコクヨさんにはお世話になります。あんた、事務用品の宝だ。
そしたらこれを、カバーの見返しの部分に塗って貼り付けていくよ。ちょっと伝わりづらいかもしれないけど、↓の画像みたいな感じだね。
こうしたらもう、カバーがずれたりめくれたり外れたりのストレスから一生解放されるよ。ひゃっはああーーーーー!!
テンションやば。後ろに並んでる奴らの方が気になるけど、とにかくカバーを貼り付けるわけね。確かに、図書館の本もカバー固定されてたかも!
こうすることで、状態としては図書館の本にかなり近くなったよ! もうなんというか、近すぎて怖いぐらいだね。
そして「近すぎて怖い」というのは決して誇張じゃないんだ。というのも、図書館の本に寄せすぎても逆によくないからだね。
リブ子ちゃんはその理由、わかるかな?
ごめん、スマホ見てて話聞いてなかった。
さすがリブ子ちゃん、その通り!! 正解は寄せすぎると、実際の図書館の本と区別が付きにくくなっちゃうってことだね。
図書ラベルのせいで、一瞬「あれ、これ図書館で借りた本だっけ、それとも自宅本棚の本だっけ?」ともなりがちだよ。
ついに人の話聞かなくなったぞこいつ。
他にも、自分の本を他人に見せたときに「あれ、それ図書館で借りた本??」って毎回聞かれそうな不安もあるよ。
もし聞かれたらどうするの?
目潰しして逃げるかな。もしくは、
「これは『自宅本棚図書館化』と言って、自宅の本を図書館っぽくしてみてるんだ。うん、いや、そう、趣味だね。完全に趣味。やっぱこうした方がさ、本が探しやすくなるかなと思って.......」
って答えた上で目潰しして逃げるかな。
なんで目潰しがデフォなの? どっちにしろ普通に修羅場だわ!
そんなプチ修羅を避けるためにも、「これは図書館の本じゃなくて、俺の自宅図書館本だ」ってことを示す”証”を刻んでおきたいんだね。
こういうの、一般的な図書館は「蔵書印」を使っているね。図書館の本には必ず、所蔵を示すために「○○図書館」とかのスタンプが押されているはずだよ。本の「天」「地」の部分とか、あとは開いて1ページ目のところとかね。
確かに、図書館の本にはスタンプ押されてるかも!
ということは、ハカセもオリジナルの蔵書印とかを作るの? 「○○ライブラリー」とか図書館名も決めないとね!!
....... .......
いやね、もう、オリジナルのハンコを作るのとか、図書館名を考えたりするのとか、めんどくさいから、
印鑑で対応しちゃったよ。
ごめん、相田って誰???
私たちの父であり母であり、この世界の創造主だね。
騒がしい箱庭、ここはあいつのdioramaなんだ。ここで『diorama』の伏線回収したの??
ようやく完成!!
蔵書印さえ押したら、あとは本棚に並べて完成だ!!
わーーーい!!!
さっそく批評・論評したいから、本棚見せてよ!
本棚論評となると急に生き生きしてきたね。いいでしょう、これが本邦初公開、ハカセの「図書館っぽくしてみた自宅本棚」です!!
2段ずつぐらいでまとめて紹介していくよ。刮目せよ。
【1段目】
【2段目】
最初は002番台から311.7までになるよ。100番台の≪哲学≫、特に150番台≪倫理学・道徳≫の本が多いね!!
ハカセは道徳の問題に関心があったから、この辺の本が多いんだ。主に「道徳の強制の是非」について研究していたよ!
ちゃんとハカセの関心が見て取れるようになってるのね!!
2段目の後半は、310番台の≪政治≫系の分野が多いのね。「道徳の強制」の問題に関連して、政治思想系でリベラリズム(自由主義)もチェックしていたと見えるわ!! モラリズムvs他者危害原理というわけね!!
急にめちゃ真面目な話題になってきたね!!
念のためここでもう一回、NDC(日本十進分類法)の画像を貼っておきます。
1・2段目はそんな感じかな。
次は3段目と4段目です(全部で8段あります)。
【3段目】
【4段目】
ここは主に320番台、つまり≪法学≫の分野になるね。特に321番台、「基礎法学系」の本が多いよ!!
ちゃんとジョン・ロールズ『正義論』もあるわね!!
ハカセの専門は「法哲学」だったみたいだけど、関心が法概念論じゃなくて法価値論(正義論)に偏ってるのが丸わかりよ!!
法概念論は小難しくてよくわからないから苦手だったよ! 今これを読んでる読者と全く同じ心情だね!!
ちなみにハカセは法学部出身だけど、実定法の本はほとんど後輩に譲っちゃったんだね。まあ最初から民法・刑法・憲法の総論ぐらいしか取ってねえんだけど!
実定法を疎かにすな。ちなみに、ところどころある青いシールが貼られた本は何なの?
青いシールが貼られてるのは、人から頂戴した本だね。研究室の蔵書整理などで譲り受けたものだよ。自分で買ったわけではないから、一応もらい物として区別しているんだね(印鑑とかも押してないよ)。
次は5・6段目!!
【5段目】
【6段目】
分類記号366~920(ラスト)までになるね。社会保障法の本とか、あとは応用倫理学の分野が多いかな。
ジェンダー系の本もそこそこあるのと、あとは動物倫理的なものが多いわね! ピーター・シンガーの『動物の解放』とか、完全に倫理学の本だけど、分類的には480≪動物学≫になってるわけね。
この辺りの「応用倫理学」の分野は、意外とこっちの方の配置になりがちだね。
でも、NDCは年々、時代に合わせて改訂されているんだ。今はNDC第10版だけど、これが新しくなれば、この辺が倫理学の方に再編されることもありうると思うよ!
最後は洋書・新書・文庫のコーナー!!
【7段目】
【8段目】
後ろに洋書と漫画を置いて、その前が新書・文庫ですね。多くの図書館で新書・文庫は別コーナーに置かれているから、ハカセもそれを踏襲したよ!
このあたり、図書ラベルは貼ってないけど、一応「出版社名アルファベット順」で並んでいるんだ。新書とかは最初から巻冊記号が振られているし、ちょっとラベル貼るのが面倒だったね。
新書・文庫も法学と政治学系が多いのね! 『モテる構造』とかもあるみたいだけど。
それは学部時代のゼミ合宿で読んだものだよ。意外とちゃんと「社会学」の本で、これを読んでも別にモテることはなかったんだ。永遠に。
ちなみに図書ラベルは貼ってないけど、カバーの固定とか蔵書印の押印はやってるよ!!
なるほどね、だいたいわかったわ...... では論評に移ります。
論評
総評としては、本が分野ごとにまとまっているのは確かによいですね。見た目的にも整ってるし、関心もわかりやすくなってると思います。規則性がちゃんと保たれているというのも悪くないですね。
本のチョイスは学術書が多いですね。というか学術書しかねえわ。小説とか読まねえの?? 専門的な本が多すぎて、一般の人は反応に困りそうだわ。法学部の人を呼んだときは盛り上がれるかもしれんけど。
ただ、専門書ばっかだからこそ、「図書館的な並べ方」と相性がよいというのはありそうだわ! 色んな分野の本があるからこそ、NDCも映えているとは言えそうね!!ありがとうございます。お褒めに与り光栄です。今日唯一褒められました。
ただ、これを人の家で見たらちょっと引くかな。何か不気味というか、理解の及ばない執念が渦巻いてそうで怖いというか...... 「ごめん用事思い出したから帰るね」って言葉が喉元まで出かかりそう! 感心よりも恐怖の方が勝ってるわ! !
まあ、あくまで基本は自分用だからね。他人が見たらちょっと引くのはわかる。何か怖いし気持ち悪いもん。
でもやってみるといいことばかりだよ! とにかく、本の片付けがかなり楽しくなるし、あと何より、「定位置」が決まっていることへの安心感が抱けるね。作業は大変だけど、非常に心理的な安らぎを得られているよ。
今のを聞いてなおさら恐怖が深まったけど、確かにね! 秩序を好む人間にとってはそうかも!
あと、それ以外でも、本がジャンルごとに並ぶから、自分の関心分野が否応でもわかるというのは魅力かもね。テキトーに並べるよりも、はっきりと興味分野が可視化されると思うわ!
確かに! それは結構ありますね!
例えばフェミニズムとかジェンダー論とか、ハカセはそんなに関心あるつもりなかったけど、並べてみると意外と367番台多かったよ。これは意外な発見でした!
そんな感じで、「この分野の本、思ってたより集めてたんだなあ」というのも気づけるね!!
全体的に苦労と対価が見合ってるのかが謎だけど、本好きの人は試してみてもいいかも!!
おわりに
こちら本棚全体の写真
いかがだったかな? 私がやってみた「自宅本棚を図書館っぽくしようプロジェクト」。やってみた本人としてはとっっっても楽しかったから、是非みんなにもおすすめしたいと思ってるよ!!
ただ、注意点として、古本屋とかメルカリではめっちゃ売りにくくなることがあるね。その点も踏まえてこれは、「一生涯かけて、自分の本棚を作っていきたい」という人向けかな。
あと、図書館の本を盗んだと思われがちなことにも注意!!
ハカセのたわ言を最後まで聞いてくれてありがとう!!
作業量がえげつないから、あくまでこれは”こだわり”を重視する人向けかな! 「本をちゃんとジャンルごとにまとめておきたい!」という人にとって、何か一つの参考になれば幸いです。まあなってなくてもハカセは満足げだから多分それでよいのでしょう。
ISBNとか請求記号の話もしたけど、本の世界って実はとっっっても奥深いの!! 皆もぜひいろいろ調べてみてね!!!
ちなみにオパビニアくんは死滅したらしいです。それでは皆さんお元気で!!! またね〜〜〜〜〜〜
さよならだけが僕らの愛だ。