浅瀬でぱちゃぱちゃ日和

全部日記です。大学院でいろいろやってました。今もなんだかんだ大学にいます。

狂ったハカセが勘で教える論文の書き方講座

*2023年1月に一度リライトしています。理由はあんまり出来がよくなかったからです。

 

ども!!! このところ更新をサボり気味でしたが、また更新多めで頑張っていきたいと思います。一回サボっちゃうと、戻ってくるのが大変なので、、、

で、私事ではありますが、一昨日の金曜日、修論の審査についての結果発表がありました。これに通っていると、修士号の学位がもらえるということだよやったね!! という感じになります。僕は無事通っていたため、これで晴れて「修士号取得者」を名乗れるようになりました。やったね!!!!

今日はそんなわけで、折角修論の審査に受かったため、カス院生が語る「論文の書き方講座」になります。僕自身、学部2年生の頃から今まで4年と半年ほど、一応「学問」なり「研究」なりをしてきたということで、何か語れることがあるのではないだろうか。なかったら悲しい。

内容はざっくり、「論文とか研究って、何するのが大事なの?」的なものです。先に言っておくと、文系の、とりわけ人文・社会科学系の中のさらに一分野についての話です(それしか知らないので)。まああくまで、僕が自分野で意識していたことになるかな。
普通に書いてもつまらなくなりそうなので、またいつものアレで行きます。そしてとっても長いので、てきとうに流し読みしてくだしあ。

 

【長いので先にまとめ】

  • 修士課程では、学位を取得するために「論文」を書く必要がある
  • 論文では、「問いと答え」という形で、今までに言われていないことを明らかにする必要がある。
  • ただし、ただ「新しい」だけではダメで、「それがどう重要なのか」などの意義も説明できた方がよい。
  • そして「主張」を持つことが大事。単に調べてわかったことだけでなくて、独自の見解があるべし。
  • 『論文の教室』とか読むとそういうこと書いてある。

でも楽しく読めるように書いたつもりなので、ぜひ本文も読んでってください。

 

狂った博士が勘で教える論文の書き方講座

【登場人物】

f:id:betweeeen:20210901161518p:plain博士(ハカセ

図書館に勤務している、研究とかのことにちょっとだけ詳しい人間。自分の知識をひけらかすのが大好き。本当は修士までしか出ていないが、雰囲気で「博士」を名乗っている。

f:id:betweeeen:20220218202330p:plain 院進 憧男(しょうお)くん
大学院進学に憧れる、どこぞの大学4年生。3年生という噂もある。今日は院とか研究について知るために、恥を忍んで博士のところにやってきたよ。

 



f:id:betweeeen:20220220222845p:plain僕の名前は院進 憧男。大学院進学を考えている普通の大学生さ。え? 文系で院進を考えてる時点で普通じゃないって? おいおい、やめれやめれ笑笑。冗談キツいって笑。
まあそんなわけで、今日は「ハカセ」のところにやってきたよ。文系の大学院進学・研究については、とにかく情報が少ないから、博士を名乗ってる人間に聞いてみるんだ。
みんなも一緒に呼んでみよう!! ハっカセ〜〜〜〜〜〜〜

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainこんにちは!!
私、博士を自称する者、その名もハカセ。紛らわしいから、私自身のことは「ハカセ」、一般的な博士のことは「博士」と書くよ。
今日は、院を修了した後も大学に住み着いている私が、文系修士の研究について解説するよ。解説といっても、知っていることを話すって程度だけどね。もう身近で話し相手になってくれる人間が少ないから、こういうのが数少ない喜びなんだ。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainよろしくお願いします、ハカセ。僕、文系分野の大学院進学を考えているけど、わからないことが多すぎて困っています。特に「修論」とかいうのが意味不明で不安しかありません。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainそうだね、今日は最終的には、「論文を書くとはどういうことか」について話すけど、まずは「院に進むとはどういうことか」ということから考えてみるよ。ちなみに全部勘で話してるからあくまで参考程度にお願いしますね。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainハカセは大人だから、予防線を張るのを忘れないんだ。

 

大学院での研究とは

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain憧男くんは大学院進学希望者なんだね。最初は大学院とは何かという話から始めようと思うよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain僕が院進を考えてなかったら果てしなくどうでもいい話題だったけど、そうじゃないからありがたいね。
ずばり聞くけど、大学院ってのはどんな場所なの?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain大学院とは一言で言えば、「学部に比べて高度な研究をする場所」だよ。でも当然、この説明では「高度な研究って何よ」という疑問が湧くね。そもそも研究ってのは何だろうね?
ちなみに憧男くんは、「研究」とは何か、人にうまく説明出来るかな?

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainうまく説明できるかは微妙だけど、なんとなく「研究とは何か」ということならわかってるつもりだよ。たくさん本読んで、先行研究とかを見て、まだ未解決の問題を明らかにしたりする作業だよね。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainだいたいその通り! だけど、大学院の特徴は、それを最終的に「論文」という形でまとめることにあると思うんだ。修士課程は修論の審査を通らないと学位認定されないからね。
ところで、憧男くんは「研究生」「聴講生」「科目等履修生」というものを知っているかな?

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain科目等履修生、、、知っていると言えば知ってるが、知らねえと言えば知らねえな。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain「バトゥーキ」で初めてカポエイラを見た時の竜大と同じ反応をありがとう(第8巻)。大学は学部生入学とか院生入学(博士前期課程・後期課程入学)の他に、研究生、聴講生、科目等履修生といった在籍方法があるんだ。
気になる違いを表にまとめてみたよ。

 

f:id:betweeeen:20220220175156j:plain

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain大学院生・研究生・聴講生を横軸に、学費・講義・図書館・在籍期間・学位の取得についてを縦軸に取りました。ちなみに、「休学」とかになると基本的に授業を取れない(単位が出ない)ので、これらとはだいぶ違ったりするね(でも図書館は使えたりするよ)
これを見て憧男くんは、何か思うところがあるかな?

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainおぇあ。とりあえず、研究生や聴講生でも図書館とか使えたりするんだね。それに授業にも出られるわけだし、もしかして院生と比べると、学費が安い分こっちの方がコスパがよい? 

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainいい着眼点だね! ↑の表を使って言いたかったことは、何も学部卒業後に院進せずとも、他の方法で「学問」なり「研究」を続けていくことはできるということだね。大学院に行かなければ研究・学問をやれないというわけではないんだよ。
そこで一番変わってくるのは、大学院に進めば「学位」が取れるということだと思うんだ。これは他のルートにはない特徴だね。他にも、一応出て行くときに「新卒」扱いになるから、就活がちょっとやりやすいとかはあるかもしれないね。もしかしたらだけど。

*あと院に行った方が論文の発表の場とかが作れるかも。これも重要ですね。

 

学位を取るためには論文が必要

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain博士の独断と偏見を参照すると、学問というのは院進以外の道でもできるけど(特に文系では)、院に行けば学位が得られるということなんだね。そうすると「じゃあ学位を取ることのメリットって何?」という話にならない?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainそうだね、これも勘で語るけど、学位というのは「この人はちゃんとこの分野の学問を修めていますよ」という認定書みたいなものになるよ、多分。大前提として、博士課程(博士後期課程)に進むにはこの修士号の学位が必要だよ。たぶんだけど。
じゃあ博士進まない人にとってこの学位って何の役に立つの? と聞かれたら、ぶっちゃけ要らねえといえば要らねえなと思うよ。例えば、どこかで何かの講演なりセミナーをするときは、学位の有無が説得力に関わってきたりするかもしれないね。とはいえ、日本において文系分野の修士号(学位)が有利に働く場面って、そうそうないんじゃないかあ。学位に対して何か利便性なり効用なりを求めるなら、正直コスパ悪い気がするよ。
でも経営大学院のMBAとかなら別だろうね。俺はあれを文系大学院の括りで議論するのは認めがたいけど。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainそうなんだ。でも、僕はわんちゃん博士に進むかも知れないし、それに学位を取っておけば、どこかでイキった教養者に対してマウントが取れるかも知れないから、やっぱり欲しいよ! とりあえず修士出ておきたい味があるよ!!

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainすごく純粋な動機だね憧男くん!!
そしてここから本題に近づくけど、修士で学位を取るには、論文(修士論文)を書き、審査に受からなければならないんだ。他にも20単位分ぐらいの講義を取ったりしないといけなかったりするけど、やっぱり一番大きいのはこの「修論」の存在だね! これが認められて初めて、修士課程を修了できると言えるよ。
ちなみに経営大学院とかだとこの限りではないんだね。経営学修士なら論文が必須じゃないところは割と多いかもしれない。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainそうなんだね! でも僕、「修士号を取るための論文を書け」って言われても意味不明だよ。正直何も分からない。
なあハカセ、もう一回、参考文献の付け方から教えてくれろ。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain今のは「ピンポン」のパロディかな? それじゃあ早速、これも勘で論文の書き方を教えていくよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain勘でいいので教えてください。

 

論文には問いと答えがある

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainそれじゃあ「論文とは何か」という話だけど、まず憧男くんは、論文において最も大事なことは何かわかるかな?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain正解は「問いと答え」があることだよ。少なくとも私はそう思うよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain僕に答えさせてくれないんだ。じゃあ何で聞いたんだよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain「盗用をしない」とかの回答が来たら困るからね! もちろんそれもめちゃくちゃ大事だけど、ここではあくまで書き方の話ということで。
論文において最も根本的なのは、問いとそれに対する答えがあることだと思うんだ。問いというのは、「この論文ではこの問題を明らかにします」とか、「○○は××だろうか」に当たる部分だね。それに対して答えの部分は、「この問題への答えはこうです」とか、「○○は××じゃありませんでした」とかになるね。
論文とか研究では、何を問い、それにどう答えているかというのが最も大事なことと言えるはずだよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainエスチョンとアンサーが大事って話ね。確かに、自分で問いを立てて、自分でそれに答えるのが研究だって聞いたことあるね。
でも、そのクエスチョンっていうのは何でもいいの? 例えば自分が興味あることだったり、ちょっと調べてみたいなっていうのを、論文の主題にしていいのかな?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainいわゆるリサーチ・クエスチョンの立て方についてね。好きなものでいいっちゃいいんだけど、悪いっちゃ悪いというか、少なくとも「修士」の研究としては、博士はそれだけでは十分ではないように思っているよ。学部の研究とかなら別だけどね。
一応、修士号を取りに行くなら、単に興味がある問いではなくて、それが解き明かすだけの価値あるものってことを説明できる必要があると思うんだ。
まあ諸説あるけどね。指導教員の方針とかもあるし。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainえぇ、「調べたいことをやってみる」じゃダメなの?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainそれで十分だと言う人ももちろんいるけど、ここは私の勘と偏見と独断を吐き散らす場所だから、遠慮なく持論を言わせてもらうと、論文には少なくとも次の2つの要素が必要だと思っているよ。1つが新規性で、もうひとつが有意味性だね。
前置き長くなったけど、一応ここからが本題だよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain次からがもう少し具体的な「論文の書き方」になるんだね。はやくしろよ。

 

研究において大事な2つのこと

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain一般的に、論文なり研究においては次の2つのことが大事だと言われていると思うよ。
第一に新規性。これは「まだ言われていないこと」や「明らかにされていないこと」について扱うことだね。第二に、これは私なりの言い方だけど、「有意義性」なり「有意味性」。これは「主張するだけの意義のあること」を言うことだね。
論文というのは基本的に、「まだ明らかにされていない重要な問題について、何か有意義な提言を行うこと」だと博士は考えているよ!! だから、この新規性とか有意義性というのは、大事な要素になってくるんだね。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain色んなことがいっぺんに言われてよくわからねえ..... まずは一つ目の「新規性」とかいうのは、これはどういうことなの?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain新規性というのは、「まだ扱われていない」「まだ言われていない」ことについて扱うことだね。他の誰も明らかにしていないことを言っていく必要があるんだ。
例えば憧男くんは、「なぜ義務教育なるものが存在するか」って聞かれたらどう答えるかな?

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainえぇと...... 何か子どもに挫折や苦しみを味合わせるため? 若い内から調教しておくんだ。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain君は絶対に教育の場に立っちゃダメだね! そうじゃなくて、ここで私が言いたいのは、憧男くんがパっと思いつく答えなんて、どこかの誰かがとっくの昔に言ってることだってことだね。今憧男くんが言えることは、多分「義務教育 なぜ」とかでググっても出てくる範囲の答えだね。
つまり、君のアンサーには新規性がない。よく調べれば出てくることなんて、今更改めて言う必要はないんだ。だってすでに誰かが書いてることなんだもん。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainは? じゃあ論文では、「いくら調べても、まだ誰も言ってないこと」について言わなきゃいけないってこと? それこそ、本を大量に読んだり、ネットの記事を漁るなりして、「これはまだ誰も言ってねえ」っていうのを見つけなきゃいけないってこと?
それってすごく大変じゃない? というか無理ゲーでは? 

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainぶっちゃけそうだね。ただここで大事なのは、「答え」の新規性のほかに、「問い」の新規性もあるということだね。「義務教育がなぜ存在するか」という問いは、すでに古くからあるもので、正直やり尽くされているというか、そもそもこの問い自体が新しくない。こういう問いに対して、何か新しい答えを出すというのは、不可能ではないけどだいぶ難しいことなんだね。
だから、自身の答え(主張)だけじゃなくて、「問いの新しさ」も意識する必要があるという話。例えば「2020年のコロナ禍以降、義務教育への関心はどのように変わったか」とかにすれば、とりあえず”新しさ”はあるかもしれないね。まあ教育学者じゃねえからわかんねえけど。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain博士、あの、もしかしてだけど......

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainWhat?

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainこういう風に「新規性」を意識するなら、膨大な量の文献を読まないとじゃない? だって、過去に同じことが言われていたら、「そっちの文献を読めばいい話、お前の議論に価値はなし」ってなるんでしょ。そんなのやっぱ無理ゲーだよ。自分の主張が本当に”新しい”かどうかを確かめるには、無限に過去の文献を読まないといけなくない?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainどのレベルの論文を目指すかにもよるけど、まあそれはそうっちゃそう。だから、論文を書く上では先行研究のチェックが何よりも大事なんだ。関心を持ったテーマについて、過去にどんなことが言われてきたのか、徹底的に、徹っっっ底的に調べておく必要があるんだよ。それをせずに「これが私の研究のオリジナリティです」と言うと、「は? 単なる勉強不足だろうがよ」とガチ目に言われるよ

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainガチ目に言われるのはつらいね。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainとはいえ、「無限に遡らなきゃ」ってことはないかな。そういうときは大体、「問い」の形を絞って、「最低限、これに答えるためにこれだけの情報が必要」っていうのを示した上で、あとはそれが揃っているのを見せられればOKだと思うよ。この辺は指導教員との相談がものを言うだろうね。勘だけど。
つまりそうやって、過去に積み重ねられてきた議論を調べて、「従来の研究ではこういうところが足りてない」⇒「でも俺はそれをやった、つまりそれが新しい」というのを示すのが、論文の最初の一歩になると思うよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainなんだか難しいけど、身近な本でそれがどのように行われているかをチェックしてみるよ。要はパクりゃいいんだよね!
今のが「新規性」の話だったよね? もうひとつの「有意味性」「有意義性」はどういう話なの?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainこれは単純に、「やっていることに意味があるか」という話になるよ。もっと言えば、なぜそれをやる必要があるのか? についての話だね。
さっきは新規性の話で、問いの新しさも意識してみる必要ありって言ったけど、当然「新しければいい」とか「誰もやってなければ意味がある」という話ではないよ。これはよく穴掘りの事例に例えられるね。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainどぎつい下ネタの話?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainなわけねえだろ。そうじゃなくて、穴掘りの事例というのは、「なぜ穴を掘るのか?」と聞かれたときに「そこに穴がないから」と答えるのでは不十分だという話だね。単に「そこにない」「今まで誰もやってない」というのでは、それをやることの理由にならないんだ。必要なのは、「なぜそこに穴を掘るのか」についての説明、つまり穴を掘ることについての”意義”や”意味”だね。
ちなみにハカセは↓のブログ記事でこの話を読んだよ。生物学の話だけど、参考になるからみんなも読んでね。

kamefuji-lab.seesaa.net

 

ちなみに、ここで言われている「これ論」は、↓のリンクで読めるよ。

www7b.biglobe.ne.jp

【穴がないからではダメ理論】

「ここに穴を掘ろう。なぜならここに穴がないからだ」と言われて納得する人はいまい。どうして A を明らかにする必要があるのか、これを読者に納得させることがイントロダクションの使命と考えて欲しい。(上記リンクより引用、強調は原文)

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain博士が先に挙げた記事だと、「穴がないから掘るじゃダメ理論」は否定的に捉えられているようだけど? やっぱり興味あることをやってみるとかじゃダメなの?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainきっかけとしてはもちろん大事だけど、それにプラスして「意義」まで説明できた方がいいと思うよ。もちろん分野とか手法にも依るだろうし、特に上で紹介した記事は「分類学」「仮説検証型論文」の話に絞っているから、万人に共通する話ではないかもね。
ただ最低限、「なぜそれをやる必要があるのか?」というのを読者に納得させる姿勢というのは、私は大事だと思っているよ。特に「修論」に焦点を当てるならそうだね。その分野に詳しい主査の先生(指導教員)だけじゃなくて、その分野からちょっと離れた副査の先生も審査に加わったりするからね。「なぜそれをやるのか」のWhyの部分と、「それをやって何になるのか」のSo Whatの部分は、他者を説得する上では必要な要素だと思うよ。
でも、そうやって意義とかに拘ることで「学問」なり「研究」の世界を貧困になっていくとか、有意義性を重視するなら経済的効用なり科学的成果ばかりが重視されるようになるとか、そういう批判もあり得るところだね。ここではひとまず、結論を出すのは避けて問題提起程度に捉えてもらうとありがたいよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainちなみにハカセ、今読者が読んでるこの記事はちゃんと「新規性」と「有意義性」を備えているの? 丸パクリだったり無意味だったりせんの?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainメタ的でいい質問だね!! この記事は一応「論文の書き方」的なものだけど、そんなものこの世に腐るほど有り余ってるから、内容面について当記事の新規性ゼロだよ。普通にググったり、あとは「論文の書き方」についての参考書を読めば、ここで言われていること10割書かれてるよ。
でも、形式面については新規性があるんじゃないかと思ってるね。なんと言ってもよくわからんやつらが勘で語ってるからね! そんな記事、少なくともハカセは見たことないよ!

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainハカセ、その新規性は、ちゃんと「有意義性」や「有意味性」のあることなの?

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain読んでる人が楽しいと思えているなら意義はあるんじゃないかな! この記事の意義については、これを読んでるお前次第だということで。
*論文において、「この研究の意義は、これを読んでるあなた次第」という書き方は間違いなくアウトなので気を付けましょう。

 

まとめ:論文では「主張」をすべし

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainいろいろとありがとうハカセ
今までの話だと、論文というのは、「まだ誰も明らかにしていないけど、実は重要な問題を、俺が明らかにしてやるぜ」ということなんだね。そしてそこには、新規性と有意味性が必要だ、と言われていたよ。さらにそのためには、そのテーマの先行研究をしっかり調べるなり、「これはやる意義があるんだ」というのを説得的に示していかなきゃなんだね。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainそうだね!おさらいをしてくれてありがとう。
それともうひとつ大事なのが、「論文では主張を展開しろ」ということかな。主張、すなわち、「この問題の答えはこうだ」とか「俺の考えではこうだ」という、何か自分自身のアピール(訴え)に当たる部分が必須だと思うよ。
たまに見かけるのが、「○○について調べたら、こういうことが明らかになった」とか、「○○について検討するのは大事だと思った」的なことを結論に据える論文だね。こういう「調べた結果××だった」っていうだけじゃ、論文としては不十分かなと思っていて、「その××を明らかにしたことにはこういう意義がある」とか、「調べて××だと分かったが、そのことから私はこう考える」といった、「調べてみた」から一歩進んだ主張が大事だと思っているよ。
論文とはつまるところ、自分の伝えたいこと、すなわち自身の「主張」を、他者(読者)に説得していくプロセスのことじゃないかな。だから、調べて分かったことだけじゃなくて、そのことについての独自の見解なり、その先で言えることが欲しいところではあるね。欲を言えば、研究のイントロのところに、「○○について検討した」だけじゃなくて、「その結果こういうことが言えるんだ、それが俺の見解だ」という主張の部分まで載せてほしいと思っているよ。
もちろんこれも勘で語ってるし、分野ごとに違いはあるだろうけどね。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plain「主張」か...... 何が主張に当たって、何がそうでないのかよくわからないけど、意識してみるよ。
ちなみに今「イントロ」の話が出たけど、博士は論文の「序章」にはどんなことを書くべきだと思う?僕、今卒論を書いているところなんだけど、このイントロが難しいんだ。下手すると熱い熱い想いを載せたポエムになっちゃうよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain序章とかがエッセイぽくなるのはあるあるだと思うよ。ちなみに、私が人から言われたのは、序章には次の3つが欲しいということ。1つは、「何を扱うか」、すなわちテーマ。2つに、「それについて、どのようなことが言われてきたか」、すなわち先行研究。3つ目に、「それについて、あなたは何と答えるか」、すなわち自身の主張だね。テーマ・先行研究・自身の主張の3つが必要と言われて育ったよ。
それに加えて、なぜそれをやるのかについての「意義」の説明とか、あと分野によるけど、研究手法や対象の話も必要だろうね。他だと、問題提起なり、あとは論文の構成とかを書くかな。
ぶっちゃけ、ハカセも1回卒論・修論を書いたぐらいだから、正直よくわかってないよ。手元にある本をとって、その本の序章がどういう構成になっているか、分析してみるのもいいかもしれないね。問題提起から入っているかとか、手法についてどれだけ細かく書いているかとかね。あとはまあ、どんな読者を想定するかってのが大事になりそうだね。

 

旅の終わり

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainありがとう博士。博士がしゃべり出したら止まらないオタクだったおかげで、僕はほとんど聞き専だったけど、色んなことが聞けて楽しかったよ。
とりあえず、論文には自身の主張が必要で、その主張は新しく、かつ有意味なものであることが必要だ、というところから頑張ってみるよ。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain長話に付き合ってくれてありがとう!
 さっきも言ったけど、この記事について「新規性」はほとんどゼロだよ。今回私が話した内容は、戸田山和久『論文の教室』とかに10割書かれているからね。この本、対話形式で進められるところも、今考えるとこの記事と被ってるね。
これはやっぱりいい本なので、みんなも買って読んでみることをおすすめするよ。

最近は上野千鶴子『情報生産者になる』も読んでみたけど、こっちは割と口調とか辛辣だったりするので、上野先生が好きじゃないと読んでてツラいかもね。少なくともハカセはそう思ったよ。内容は網羅的で充実してるから、上野先生ファンならここから入ってもいいかもね。。

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainどっちも1000円前後で買えるんだね。Amazonアソシエイトのリンクが貼ってあるってことは、ここから買えってことかな? 多分そうだろうね。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainあと、『論文の教室』一冊読めば十分とは思うけど、もう一冊挙げるなら、やっぱりティモシー・クルーシアス『大学で学ぶ議論の技法』がおすすめです。手法がかなり具体的に書かれているので。あと有名どころを紹介すれば、『リサーチの技法』とかになるかな。他にもたくさんあるよ!!

 

f:id:betweeeen:20220220222845p:plainいろいろあるんだね!! 考えるのがめんどくさいから、とりあえず『論文の教室』から読んどくよ。ときには思考の放棄も大事なんだ。

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainあと、大前提として、大学の先生は「論文の書き方」「研究の仕方」についてはあんまり教えてくれないというのがあるね。基本的には自分で調べておけってスタンスなんだ。優れた参考書が既にいくつも出ているから、それを読んで身につけろってことなんだろうな。私もそうやって身につけたよ。誰も教えてくれねえんだ。

 

f:id:betweeeen:20220220223242p:plainありがとうハカセ、おかげで、色んなことが学べた気がするよ。

 

f:id:betweeeen:20220220201951p:plainそしてまたいつか、再会しよう。この世の輪廻の果てのどこかで......

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plainああそうか、院進憧男くん、君は私の孤独が生み出した幻だったんだね。誰かに論文の書き方を伝えたい、でも聴き手がいないという私の悲劇が、君という存在を作り上げたんだ。

 

f:id:betweeeen:20220220202248p:plain少しの間でも、僕は存在できて幸せだった。いや、この別れだって、つかの間のさよならに過ぎないんだ。また博士が孤独になったとき、語りたいことを語り得ぬ悲しみに陥ったとき、僕はいつだって現れるから......

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain憧男くん、私は君のことを忘れない。学問だって研究だって、一人じゃ何も始まらないんだ。誰かと対話することで、初めて自分の考えに向きあえるんだ。

だから君は永遠に不滅だ。いつでも私の心の中に、院進 憧男くんは存在する。僕たち「問う者」が消えない限り、いつだって、君と僕は復活するんだ。それはあなたの心にも......

 

 

 

 

終わりに

f:id:betweeeen:20220220223323p:plain狂った博士に代わって私が締めるよ!!

ブログ記事はこんだけ自由にやっても誰にも怒られないけど、研究や論文では、ちゃんと手法を押さえる必要があるって話かな。特に学位がかかった論文では、そういうのをしっかり意識するのが大事だと思うの。単に斬新だったり面白かったりするだけじゃ足りないかもということね! 好意的に読めば、博士はそのことを伝えたかったんだろうけど、まあ多分好き勝手に暴走しただけだね。

 

f:id:betweeeen:20220220223323p:plain最後に今回のまとめだけ載せておくよ。終盤ふざけてごめんね!!

 

【改めて今回のまとめ】

  • 修士課程では、学位を取得するために「論文」を書く必要がある
  • 論文は、問いと答えという形で、今までに言われていないことを言う必要がある。
  • ただし、ただ”新しい”だけではダメで、それがどう重要なのかも説明できた方がよい
  • あとは「主張」が必要。単に調べてわかったことだけでなくて、独自の見解があった方がよい
  • 『論文の教室』とかを読むべし

 

f:id:betweeeen:20220220222527p:plain本当は「こういう手法ってのはどこに行っても役に立つはずだから、企業や日本社会はもっと”学位”とか”院卒”を評価してもいいんじゃないか」ってところまで言いたかったけど、今回は書き切れませんでした。長くなったからね!!

 

f:id:betweeeen:20220220223323p:plain文献の調べ方とか論理の重要性とか、書き切れなかったこともたくさんあったから、もしかしたら第2弾もあるかも!! そのときはよろしくね!!

まったね〜〜〜〜〜!!!

 

 

 

 

 

 

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↑サムネ用にわざわざ作成